[スタイル] 2泊3日 単独テント縦走
[タイム]
●10月10日(土)晴れ
6:00 自宅
10:45 身延駅
11:45 馬場
12:00 老平(登山口)
13:15 広河原
16:45 桧横手山(テント)
●10月11日(日)晴れ
6:15 桧横手山
8:00 布引山
9:10 笊ヶ岳(2629m)9:45
12:00 生木割山
13:00 天上小屋山
15:00 転付峠
15:20 水場
10:00 出合-東京電力見張小屋(テント)
●10月12日(月)晴れ
6:00 東京電力小屋
7:00 工事現場
8:20 田代入り口(バス停)
3連休どこにいこうかと、いつもの山の先輩にご相談すると、笊ヶ岳行ってみない?とのことだった。
笊?ザ ル?ってどこだ?
さっそく地図を広げて眺めていると、なるほど夏に6日間行った南アルプスの山々が眺められる山らしい。
秋山には丁度いいかな?
アレレ??よく見ると、水場も小屋もテント場もない!??
これで納得。。先輩が「ちょっと大変だけど〜」みたいな雰囲気を出してたのが。
ネットで笊ヶ岳を調べてもあまり山行記録がなかったのだけど、とにかく「登りが急登」とか「渡渉」とか「大量の水を担ぎ上げる」とか大変なことばかり。
悩んでると、山仲間が山で亡霊をみたとか、自分自身火の玉みたいな変なものを見たりしたので、さらに人気がなさそうな笊はやめようかと思い、北アルプスの笠ヶ岳に浮気をし始める。
出発前日の夜に北アルプスが雪で白くなったのを知り、北はあきらめ、結局南の笊ヶ岳を目指すことに決心する・・・。
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<1日目>
バスは馬場(ばんば)に到着。他に単独のおじさんが一人バスから降りる。とにかく笊ヶ岳を目指す人がいてひと一安心。よかった〜
そこに車が止まる。
「老平まで乗っていきますか?」
笊に登るという夫婦の登山客に声を掛けてもらい5分足らずだが、老平の登山口まで乗せてもらう。
1時間半ほどで難なく広河原に到着。
ここが問題。今まで渡渉の経験がないので不安。
靴を脱いでサンダルに履きかえ先ずは空身でちょっと歩いてみて次にザックを背負って約5Mの川を渡る。水は膝くらいでとても冷たい。
無事に渡れてほっとする。あとから来た単独のおじさんは、でかいビニール袋を靴の上から履いて渡ってたけど、片方は水に流されてしまった・・。
おじさんさんは2泊で頂上往復のため、今夜は広河原にテントを張るらしい。
私は、3日分の水、4リットル(数日前までは絶対無理と思っていたのに・・)を汲む。今回はこの4リットルを考えて、軽量化しようと夕飯もおかずなしのアルファ米とスープのみにして、行動食もパンを削ってソイジョイとか学校からもらった乾パンにしてみた。そしたらザックは11キロになり、この4リットルを足しても15キロでそれほどやばい重さじゃない。
テント場になりそうなところは幾つもあったけど、あの光が見える辺りまで登ろうと思い、着いたのが桧横手山だった。
残念なのは他にテント客がいないこと。。。ちょっと期待してたのに仕方ない。
初の全くの一人テントをすることになった。
心細い中、周りは樹林なので星も見えないので、テントの中でごはんを作り食べて就寝。夜喉が渇いても今後の山行のことを考えると飲めないのがきつかった。。
夜中テントの周りで人の歩く音が・・!!デタァ!??時計を見ると2時・・・。
一人震えながら朝を待つ。。。。
<2日目>
布引山は意外に早く到着。頂上から下ってくる単独の男性と会い、話をすると昨夜11時に登山開始し、夜道を歩いて頂上で日の出を見たらしい。
そっか〜あの2時の足音は彼だったんだ〜よかったよかった・・・。
笊に着くと、360度の展望がガスで180度で富士山は見れなかったが、南アルプスの山々が見れた。しばらく休んで頂上にいた登山客と話をしてると、伝付峠までは今日中にいけるんじゃないかと言われ、それまで稜線のどこにテントを張ろうと悩んでたけど、その日の目標ができた。
よし、伝付峠にいこう!そう思い、それまで我慢していた水をガブガブのみ始める。伝付峠に行けば水がある。
生木割山には、鍋が設置されてあり、雨水が凍って入っていた。水がない登山道にいざというときこれはかなり助かる。
天上小屋山を過ぎ20分ほどして、は!!!カメラがないことに気づく。
落とした!!ザックを置き、探しながら来た道を戻る。
ないないない!!そして天上小屋山まで戻ると、木にぶら下がっているPENTAXを発見!おおー!!私のカメラちゃん、思わず頬ずり。道の前後には一人もいないのに、誰かが、忘れ物ですよ〜ってぶら下げてくれたみたいだった。山の神様ありがとう〜
30分のロスで伝付を目指す。
道は歩きやすい道で樹林帯の中から南アルプスが少し見れて紅葉も少しあり、苔もたくさんあり綺麗な気持ちのいい道だった。
ようやく伝付峠に到着。
ここで発見。伝は「転」で転付峠らしい??
広い林道があってどこにでもテントは張れそうだけど、、とっても寂しい感じ・・。
人がいないかな〜
笊を過ぎてから人に会っていない。。。
無いものねだりで人を求めて峠から下山していくことにした。
水場で水を補給してからしばらくいくと、夫婦が登ってきた。
ちょっと嬉しくなり話をする。
別れた後にその夫婦を思い出し、ちょっと奥さんの方が狐顔だったのであれは本当に人間だったんだろうか。。。と考えたりする。
今日はそこからさらに1時間下った東京電力小屋の脇にテントを張ることに。
力があれば1泊で縦走できる路だな〜。
テント場からは富士山のてっぺんが良く見える穴場?だった。
けど何かを祀ってお酒とか供えてあるとこがありちょっと怖いなとやはり心細い。
いきなりサイレンが鳴る。耳が痛くなるくらいの大音量で「東京電力です。次の音が鳴ったら放水を始めますので急いで川から出てください。ピーブ〜!!!」
かなりびっくりしたけど、人気を感じれて実はちょっと嬉しい。
空がよく見えるところだったので、暗くなるまで外でご飯を食べてお茶をしてテントに入ってからも頭だけ出して星空をしばらく眺めた。
流れ星は5回見れた。
星空を見ていたらウガンダの星空を思い出しお化けにビビッている自分がちっぽけに思えてきて何かが吹っ切れ、この日はよく眠れた。
<3日目>
一昨日田代入り口から入った登山客の情報によると、橋が一箇所崩落していて渡渉しなければならない、とのことだった。
でも昨日会った夫婦に聞くとそんなことはなかったと言ってた。
どちらにしろ、田代までの道は橋が多くて気が抜けない。
数本目の木の橋で思いっきり滑って尻餅をついてしまった。あ〜滑落しなくてよかった。。。。
それから次から次へと現れる橋にびくびくしながら、滑らないようにとにかく慎重になって下りた。薄暗い森林の中で、お化けも怖いけど足元も怖く、しばらく変な緊張が続く。結局渡渉地点はなかった。(1日で整備されたのか??)沢がとても綺麗な良い道だった。また来てもいいな〜
無事に田代入り口のバス停に到着。
今回は一日に使う水の量、重さ、などちょっと学んだ山行でした。
そしてやっぱり山は人を求めて歩いているんだと実感。。。
おつかれさまでした!
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バス停に着いたが、早く着きすぎてバス時間まで1時間半。
のんびりお茶を沸かす場所もなし。
ということで通りがかった車にちょっと先の温泉まででいいから乗せて行ってもらおうと考えたのでした。
ここから長旅が始まることに・・・。
【笊ヶ岳 下山後 〜ヒッチハイク〜】
笊ヶ岳〜伝付峠の縦走を無事に終えて田代入り口のバス停に到着。
地図上のコースタイムがゆるかったためか、早く下山してしまってバス時刻までまだまだある。
お茶を沸かすにも面白くない場所。
反対方向の奈良田行きのバスが私を見つけて止まった。
「違います・・・反対方向です。」
「まだまだ来ないよ〜」
「ええ、、そうなんです。近くに温泉とかありますかねぇ?」
温泉は4kmほど下ったところにあるらしい。
温泉に向かって歩こうと思ったが、どうせなら車を捕まえてしまえ〜!
ということで、次来る車を捕まえようと待ち伏せしてると一台の白いちっちゃな車が来た。
よし!大きく手を振ると車が止まる。
乗っているのは気の弱そうなおばちゃん一人。
ちょっと警戒してるようだ。
「バス待っていたんですが、まだ1時間半もあって、よかったら近くの温泉とかまででいいので乗せて行ってもらえませんか?」
おばちゃんの了解を得て急いでザックを取りに走り、乗せてもらう。
「山に登ってきて下山したところなんです。ほんとにすみません。」まだ不審に思ってそうなおばちゃんに、自分の出身とか地元のことを言ったりしてみる。
ようやくおばちゃんも色々話を始めて会話も弾む。
おばちゃんは奈良田近くの温泉で一人暮らし。今日は甲府に買い物に行き、嫁いだ娘のところに行くのだそうだ。孫の誕生日らしい。
「温泉はまだ時間が早くて開いてないだろうから、国道線沿いまで送るわよ。」
約30分乗せてもらい、コンビニのあるバス停におろしてもらう。
「いろいろお話しながら来れて楽しかったわよ。」とおばちゃん。さよなら〜と手を振ってお別れした。
さてバス停に下ろしてもらったはいいが、バスを待つ時間は変わらない。
身延駅を目指していたが、地図を見ると下部駅の方が近いらしい。でも波高駅という駅も近いとか。
とにかく下部駅までは約4キロ。さあ、歩くか。と思ったけどまたもや思いつく。
こんなにいーっぱい車が走ってるのに。誰か乗せて行ってくれるに違いない。
とりあえず、どこの駅が一番近いかを聞いてみようかと、
目の前を通り過ぎようとしたおっちゃんに、
「すみません、この辺で一番近い駅ってどちらですか?」
この時とっさに話しかけてしまった自分に後悔する。
おっちゃんは上下黒のジャージで中太りで角刈り頭。
や、やばい!!暴力団みたいだ!
「なにぃ〜?」
ちょっと耳も遠いみたいだ
「あ、あの〜一番近い駅ってどちらですか?」
「なんでだよ〜?」
「あ、今山から下りて来てここまで送ってもらったのですが、一番近い駅まで行こうと思って。。」
「山〜?どこまで帰るんだ?」
「埼玉です・・」
「じゃあ、下部駅がいいだろうな。こっちへ来い!向こうに車があるから送ってってやるよ。なにも遠慮しなくていいんだから!」
こ、こわーい!!!
やばい、拉致されるかも。。。
是非遠慮したいんだけど、、、断れない!
恐る恐る着いていく。
「お時間大丈夫ですか?何か用事があるのならいですよ・・・」
「パチンコだよっ!まだ開くまで30分あるから大丈夫だよ!」
は、そうですか。。。
「あれがオレの車だよ。軽トラ。」
指差した先はパチンコ屋の前に止めてある白の軽トラック。
その奥に、おやじと似たようなおやじが座っている。
やばい!仲間だ!
本当に拉致される!!
「カバンは後ろに置きな!」トラックの荷台を指差す。
「あ、私も後ろに乗りますよ・・・」いつでも逃げられるように考える。
「そんなことやったら違法で捕まるよ!」
「そ、そうですよね・・・」
「ちょっとこの子を下部駅まで送ってくるからよ!」おやじは仲間にそう伝えるとトラックに乗り込む。
私もしぶしぶ助手席に乗り、おやじがシートベルトを締めるのを見てから自分も締める。
おやじは運転席に乗り込んですぐタバコを吸い始める。
「せっかくこうやって出会ったんだからさ!」
な、何!!?怖い。。。何があるの。。。
そのあとは会話がにごり一安心・・・。
「何の仕事してんの?」
「あ、今学校の先生してます。」
「オレも昔は学校の先生してたんだよ!」
(本当かー!!?)
「保健体育だけどよ!」
(そうれなら納得。)
「山の話とか生徒にしてやったらいいよ!」
「それにしても一人で山なんて冒険心があるっていうか、無謀だよな。」
「彼氏はいるの?」
できるだけおやじの気分を損ねないように持ち上げて会話をする。
無事に下部駅まで到着。助手席から降りてザックを降ろすまで安心できなかった。
「どうもありがとうございました!」大きな声で挨拶してみる。
「アンタ、ズボンが黒いよ。」
「あ、はい・・・?」
おやじはわけわかない一言を置いて去っていった。
下部駅に着いて安心。
時間はまだ10時前。せっかくだから下部温泉に入って帰ろう。
【下山後 下部温泉〜本栖湖】
ヤクザ?のおやじと別れほっとしたところで、温泉に入りにいくことにした。
下部温泉の温泉街は駅から歩いて15分ほど。
朝市のおばちゃん曰く、温泉は「源泉館」のお湯が一番いいらしい。だけどここは混浴・・。
ということで、違う温泉を探すが、、、「源泉館」にたどり着いてしまい、ちょっと中を覗いてみる。
と、お客のおじいさんに見つかり「今ちょうど誰もいないよ。」と言う。
じゃ入るかな。
フロントで借りたタオルを巻いて中に入ると、わんさかおじいさんがいる。話が違うじゃないか。。巻きタオルで温泉は苦手なのだ。だけど、仕方ない。。あきらめて風呂に入る。
源泉は約30度で水風呂のようだ。私は寒くなって長く入ってられないけど、他のみんなは1時間近くも入ってお喋りしてる。すごいな〜!
みんな常連客で治療のため埼玉とか静岡とかから定期的に毎月のように温泉に入りに来ているらしい。水風呂と加熱風呂を交互に入るといいらしい。そしてこのお湯に浸かっていると身体の悪いところが痛くなるらしい。
この温泉は、武田信玄が戦で傷ついた時にその水で治療したとか。そういういわれが全国にあるがここが本物らしい。
飲むと胃腸炎にもいいとのことで、2リットルの空きペットボトルに詰めて持って帰ることに。
時間は11時20分。おっとやばい!温泉でちょっとゆっくりしすぎたみたいだ。
12時24分の電車に乗りたいし、昼飯もちょこっと食べていきたいので急いで着替え、駅へ向かう。
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急ぎ足で歩いていると、
「ちょっと、ちょっと!!」
呼び止められる。なんだ!?と思ってちょっと引き返す。
「ちょっと〜!どこの山行ってきたの?」
エプロンに三角巾のおばちゃんがいる。商店のおばちゃんだ。
「笊ヶ岳ですよ!」
「笊ヶ岳いってきたの〜?私すご〜くいきたいの!いつもここから笊ヶ岳が見えるでしょ〜。いつも登りたい登りたいと思うんだけどなかなか勇気がなくて。来週でも連れてってほしいわ〜!」
「ひとりでいってきたの??すっごいわね〜!」
おばちゃんは本当に笊ヶ岳にずっと登りたいと思ってるらしく、どんな山だったかを色々伝える。
おばちゃんは山が大大大好きらしく、山のことになると興奮してくるようだ。
「なんかあげたいわ。鉱泉持ってる?」
「さっき温泉で汲んできました。」
「そうなの〜?じゃあ牛乳飲む?」
「今度来たらうちに泊まってちょうだい!私ひとりだから。」
山仲間には何かをしてあげたくて仕方ないらしい。
「ちょっと待ってて!」店の奥をゴゾゴゾ・・・。
出てきたのはおばちゃんが作った自家製パンケーキ。
「他になんかないかな〜」店中を探して「これは甘すぎずおいっしいの!」と一房のぶどう、そしてパックの牛乳をくれた。
「こんなにいいんですかぁ?ありがとうございまーす!」
記念におばちゃんと小山商店の写真を撮る。
「じゃ、また来た時に遊びに来ますね!」
「えーっと・・・ちょっと待って。」
まだ何か・・・!??
「ちょっと汚いんだけど、、、、あがって!玄米ごはんとお味噌汁あればいいわよね!」
えっ〜!?どうやらおばちゃん昼飯をご馳走してくれるらしい。
「いいんですか!?」
店先にザックを置いて奥の部屋に上がる。
8畳ほどの部屋には仏壇があり旦那さんのような人の写真が飾ってある、壁には山の写真がたくさん貼ってある。
おばちゃんは私の電車時間を気にして急いで昼飯を準備し始めた。
しばらく写真を見ながら待っていると、御膳をもってきた。
玄米ご飯、お味噌汁、さんまとマグロの刺身、かぼちゃの煮物、もずく、きのこの炒め物、センナリの奈良漬け、明太子、デザートに梨。
なんだかすごいご馳走だ!!感動!!「いただきまーす!」
食べていると、60歳くらいの美人お母さんがやってきた。(商店のおばちゃんは70歳くらい)おばちゃんにきのこがどうとかっていう話をしている。このお母さんは小山商店のむかえの旅館の女将さんらしい。
突然、おばちゃんはしきりに電話を掛けたり電話が鳴ったりして、忙しそうだ。
すると「本栖湖いってみる?行ったことなければ行ったほうがいいわよ。今日中に帰れればいいんでしょ。」
おばちゃんがテレビをつける。そこに湖とその先に富士山が綺麗に写っている。
「これ、今の本栖湖よ。カメラで撮ってんの。カヌーにも乗せてあげたいわ。」
カヌー??本栖湖?
よくわからない状態のまま、ただただ流れに身を任せ・・、ご飯を大急ぎで食べて車に乗り込む。
そして本栖湖へ向かうことに。。。
運転をしそうもない小柄なおばちゃんだったが、マニュアル車を80キロ以上の猛スピードで山道を運転する。元気なおばちゃんだ。
今回の用事をよく聞いてみると、友達がきのこを採ってきて店に仕入れているのだそうだけど、旅館の女将さんは料理に出すため、そのきのこを買いたいのだそうだ。それで本栖湖にいるから取りに来いとのことだそうだ。ちなみにカヌーで遊んで待ってるらしい。
道中でおばちゃんは運転しながら携帯で電話をかける。
「今日は仕事なの?」「ちょっと会う時間ない?」
「一人で笊ヶ岳登ってきたんだってよ。ほんとにいい感じの人だから。
今私の隣に座ってるのよ〜。本当にだめなの〜?会わせたいんだけど。」
どうやら40歳未婚の山登り友人(「公務員だからいいわよ」だそうだ。)に私を紹介したかったらしい・・・。
いやいや・・・・。おばちゃん、、、それにしても行動が早い!!
本栖湖に着くと、きのこ狩りのおじさんのカヌーにしばらく一緒に乗せてもらって遊ぶ。
「まさか山の帰りにカヌーに乗れるとは思っていなかった〜!」
「そうでしょ〜、ぜーんぶ神様がしてくださったことよ。」とおばちゃん。
そうそう。私も常にその感覚で生きています。。いいのか悪いのかわかないけど(汗)
おばちゃんや女将さんは神秘的な人で、女将さんは私に太陽の写真をくれた。
「手を当ててみて。何か感じない?」
右手は感じないが左手を当てると、温かいような感じももする。
「太陽は元気の源だから、単独行のときでも元気がほしいときでも、お守りとして持っておくといいわよ。」
確かに今回の山でも樹林帯が多くて暗かったけど、太陽の光が差したとたん元気が出てきた。また孤独な山行の時に利用させてもらおう。
その後、きのこの仕入れ先の店まで一緒にいく。
きのこ狩りは趣味でやってるらしいが、売ったきのこは倍の値段で店頭に並ぶらしい。きのこ狩り仲間が店の周りにたくさんいて色んな種類のきのこや山葡萄を持っていて面白い光景だった。
それからおばちゃんが河口湖駅まで送ってくれることになった。
河口湖駅に到着すると、女将さんが作ったおにぎりとかぼちゃ煮をもらってお礼を言ってさよならをした。
河口湖駅は初めて来たのだけど、とっても綺麗。
観光地らしい雰囲気で観光客が大勢いる。
待合室のベンチに荷物を置き、電車時刻までお土産を見たりアイスを食べたり。
電車時間が近づき、10分位経ってベンチに戻る。
あれ!!!ないっ!!ないないないっ!
ザックの横に置いておいた袋がない!
スーパーの白い袋だったので、ゴミだと思われて捨てられたのかと駅員さんに聞くがそうでもなく届けられてもいない。
「置き引きにあったのでは??」と言われる。
置き引きか・・・?
袋に入っていたものは・・・・?一つ一つ思い出す。
電車の中で食べようと思っていたものを入れていた。
確か、おばちゃんの手作りケーキ、おにぎり、かぼちゃ煮、みかん、牛乳だ。
財布、携帯、デジカメは全部上着のポケットに入っていた。
私はよく、いかにも大事なものは入れなさそうなスーパーの袋に財布や携帯を入れて持ち歩くので、今回はそうじゃなくて本当にラッキーだった・・・
それにしても、誰が盗んだんだろう。。。ケーキもおにぎりも食べられないのはショックだし、一体「誰?」というのが気になる。これまで色んな国に行って来たけど、一度も盗まれるという経験はなくて日本の河口湖駅でそういう経験をするとは全く思ってなかった。
今までが運がよすぎたんだろうか・・・???
変な気分のまま、電車に乗ろうとするが、
なんだこの電車!?
思わず車掌さんに乗っていいのか聞いてしまった。
おとぎの世界のような富士登山鉄道。
電車の中は、ディズニーランドの乗り物のようにものすごく可愛らしくて、カフェみたいにくつろげる空間だった。
大月までの1時間をその空間でゆったりくつろぎ、今回の山旅を思い出すのでした。
山で人恋しかった分、下山してから人を惹きつけたようでした。
それにしても盛りだくさんな旅だった〜