[スタイル]単独テント
[食糧]アルファ米(3食)、メロンスティックパン5個、ロールパン3個(フジパン、バター)、ピーナッツコッペパン、カロリーメート、蜂蜜、焼きチョコ
[費用]ムーンライト信州(4600円:青春18切符2300往復)、甲府〜広河原(2000円)、鳥倉口〜伊那大島(2400円)、テント場(1500円:500×3)、うなぎ丼(1500円)
[コースタイム]
●8月12日(1日目)
09:00 甲府〜広河原(バス)11:00
11:15 広河原
13:15 白根御池小屋13:30
15:07 お花畑
16:30 北岳肩ノ小屋
(雨水。1L100円)
●8月13日(2日目)
07:00 北岳肩ノ小屋
07:35 北岳山頂
11:00 間ノ岳
13:00 三峰岳
14:00 熊の平小屋
(沢あり。水豊富)
●8月14日(3日目)
04:50 熊ノ平小屋
05:50 竜尾見晴06:15
07:15 ザレ場
09:40 塩見岳
10:15 塩見小屋
13:50 三伏峠
(水場は結構下って10分。沢の貯め水。)
●8月15日(4日目)
05:35 三伏峠
09:10 鳥倉口〜伊那大島(バス)
南アルプスを北上し塩見岳まで縦走した一昨年、北岳から間ノ岳経由で両俣へ北上した昨年、2年連続行きたい気持ちを抑え、どうしても行ってみたかった熊の平へのルート。
そして今年ようやく!!
天気の良いお盆。本来なら田舎に墓参りをするのだが、一昨年死んだじいちゃんの死を受け止められないこともあり・・・墓参りなんかいくか!と心の中でつぶやき、
ムーンライトえちごで使うか迷っていた青春18切符を手にし甲府へ向かう。
前回の北アルプスの縦走が6日間雨だったことで、雨山行が少しトラウマになっていたので、晴れの山行に大きな期待を抱く。
北岳を登るときはいつも、甲府ステビバだったけれど、そんなことをしなくても、早朝家を出て9時の広河原行きバスに乗れば、余裕で山頂付近の小屋まで行けることに気づいた。また愛する北岳が身近な存在になった気がする。嬉しいわい。
北岳肩の小屋につくと、東側のテント場はいっぱい。世の中には墓参りに行かないで山を楽しんでる人もいるもんだ、、、と考えたりする。決して罰あたりではないことを願う。
昨年の7月の3連休ほどの人ゴミはないけど、そこそこ混んでいる。私は夕日の見えやすい、だけどちょっと風の強い西側にテントを張る。
小屋の前のベンチで1人で夕飯を食べ終え、茶をしていると外国人カップルが声を掛けてきた。
「一人ですか?」
「寂しくないですか?」
私が外国人だ〜と思って声を掛けようかと思っていたのに、なんだか反対に心配されて声を掛けてくれてきたようだ。
「いつもひとりですよ。さみしくないですよ〜」
彼らは、ピチュピチュ英語じゃない言葉を喋っていて、すごく可愛い。聞くと、チェコ出身の方らしい。
彼は33歳、彼女は29歳で、結婚されている。旦那が名古屋の大学で研究員をしていて、奥さんは大学で英語を教えているとか。
つい昨日付き合い始めて10年のお祝いをしたらしい。すごく仲が良くて、お似合いだ。
彼らは、広河原から入り、熊の平、塩見、三伏と、私と全く同じルートだ。
夕方からガスが出始め、夕方になっても晴れず、素晴らしい夕焼けは見えなかった。ちょっと残念だったけど、明日の天気に期待する。
2日目、熊の平まで6時間コースなので、朝は少しゆっくりする。
夜はガスがかかっていなかったけど、朝日はガスであまり良い景色は見れない。2度寝をして出発する。
北岳は綺麗に晴れていて長居する。北岳はいつも笑顔をみせてくれる。
北岳を過ぎると、どんどんガスで真っ白になり、間ノ岳では、辺りは何も見えない。そして風も強い。
間ノ岳で天ぷらカップ蕎麦をすすりながら、晴れを待つが辺りは真白・・・。
ここからが今回のメインルートなのに〜!晴れてくれ〜!!と心の中で叫ぶ。間ノ岳から熊の平方面に向かうと、有難いことにガスが晴れてくる。山の神様ありがとー。
三峰岳に着くと、去年ここで熊の平へ見送った仲良し老夫婦と両俣へ向かった自分を思い出す。小屋までは結構近くて1時間くらいで到着。
熊の平小屋はとても評判の良い小屋なので、夕飯だけ御馳走になろうと思っていたが、この小屋は夕飯のみというのはやってないらしい。残念・・・。
オーナーのおじちゃんに「ごめんね、秋にまた来てよ。紅葉きれいだよ。」と言われる。
仕方ないので予備のアルファ米をテラスで食べていると、オーナーが小屋から顔を出して、おいでおいでをしている。カモシカ肉がなんちゃら〜と言っている。
行ってみると、アルミホイルに肉のから揚げとカキフライを手にして差し出してくれた。
「カキは食べれるよね?アレルギーとかないだろ?」
「ありがとーございます!うれし〜!!」
カモシカ肉のから揚げ??(天然記念物!?)もカキフライも揚げたてでサクサクでホカホカでとっても美味しかった。やっぱりこの小屋はいい小屋だ。
熊ノ平小屋の番をしているのは、アメリカ人だと思ったら、オーナーの奥さんだそうだ。オーナーの弟の奥さんはチェコ人らしい。国際的な人たちだ。
北岳からずっと一緒のチェコ人夫婦は、小屋の水場の沢で、半裸になってキャーキャー言いながら互いの体を拭きあって楽しそうにしている。この寒いのに日本人には見られない光景だ。
テント場はテントでいっぱいだった。明日は、塩見を越えて長時間コースなので不安とともに就寝。
3日目、5時より早めに出発。樹林帯が続く。
1時間おきに、展望の良い場所へ出る。中央アルプスや北アルプスまで綺麗に見えた。
地図のコースタイムはずいぶん甘いタイムだった。道もそれほどきつくなく、平坦な道が多い。
チェコ人のレンカが持っていた英語のトレッキングガイドブックには、熊ノ平〜三伏峠は、6〜8時間で標高差も登り600M、下り600Mと書いてあったのを思い出す。
しばらく圧巻の塩見岳を見ながら歩く。
塩見岳に着くと、これまで歩いてきた山々を眺める。そして一昨年歩いた南側の南アルプスの山々を見る。つながった〜!
2年前にここで、南アルプスを同じルートで歩いた70歳の喜多さんを見送ったもんだ。感無量。
心が満たされるまで頂上でゆっくり過ごす。
塩見岳から三伏峠は結構登り下りがあって疲れる。三伏山までくれば15分で小屋に到着。結局、コースタイム9時間のところをのんびり休憩しながら9時間で来れた。
小屋に着いて、CCレモンを飲んでると、鳥倉から登ってきた中年夫婦がいた。到着の記念写真を撮ってあげると、奥さんが何やら帽子を途中で落してしまったらしい。
奥さんは耳が聞こえないらしく、旦那さんもあまりうまく喋れないようで手話で話していた。奥さんが探しに行くと行って空身で来た道を引き返して行った。
テントを張って、テント隣の摩人さんとおしゃべりしたりお茶を飲んで過ごす。
斜め前のテントのさっきの言葉の不自由なおじちゃんが心配そうな顔をして立っている。まだ奥さんが帽子を探しに行ってから
帰った来ないらしい。2時過ぎに小屋を出てすでに5時、3時間も経っている。
おじちゃんが、鳥倉方面に奥さんを探しに下って行った。登ってくる人に聞いてみると、空身の女性が半分より下の方に下って行ったなどど言う。
一体どこまで下ってしまったのだろうか。テント場のみんなや、チェコ人夫婦にも話すと、みんな心配して、ああだこうだと話し合う。6時になるとおじちゃんが一人で帰ってきた。
奥さんは見つからなかったらしい。とりあえず、万が一のことを考えて小屋の人に言うと、「お父さんだめだよ、戻ってきたら。ヘッドライトを2つ持って探しにいきな。」と言う。
おじちゃんは急いで、ヘッドライトと懐中電灯を持って下って行った。
時間はすでに6時なのであと1時間もすれば暗くなってしまう。
だんだん不安になる。私も探しにいこうかと考えていると、テント隣の摩人さんが、「一応食料と水を持っておれも行ってきます。」と言って
下って行った。頼りになる!行ってしまってから摩人さんが、ウィスキーをさっきまで飲んでいたのを思い出すが、、、。どうか無事に帰ってきてくれ〜!
すると、小屋のお兄さんも、装備をして探しに行くという。おねがいします!!
しばらくすると、摩人さんが戻ってきた。4合目でおじちゃんと奥さんが無事合流できたらしい。奥さんは、自分で歩ける状態で、水場で水も飲んだし、帽子も見つかったらしい。
とりあえずよかった〜!!みんなで万歳をする。
7時を過ぎて少し暗くなった時に、おじちゃんとおばちゃん、小屋の兄さんがようやく小屋に到着した。心配して待っていたみんなで拍手で迎える。よかったね〜!!!本当に無事で何事もなくてよかった!
それから安心して遅い夕食をとる。満月に近い丸い月はとても明るくて、星空を見上げながらお茶を飲む。塩見岳方面で花火のようなものが光って見えた。
今日はハプニングがあったけど、とっても良い山行だったな〜としみじみ感じる。あとは明日2時間無事に下るだけ。
翌朝、塩見岳のてっぺんが朝日に照らされていたが、雲がかかっていた。今日の天気はいまいちのようだ。言葉の不自由なご夫妻は、これから塩見岳と烏帽子岳を登るらしい。無事に行ってきて欲しい。
下山はゆっくり摩人さんと歩く。植物のことなど結構詳しく色々聞きながら歩く。
鳥倉からバスで伊那大島駅へ。途中の大鹿村の休憩所でバスの運転手お勧めの幻の豆腐を手に入れる。
伊那大島へ着くと、名古屋へ帰るチェコ夫婦と摩人さんとさよならをする。それから反対方面の電車に乗り、塩見岳をピストンしてきたという朝日ビールのAさんとお喋りをして岡谷へ向かう。
Aさんによると塩見小屋の夕飯はこだわりがあってとても美味しいという。Aさんが小屋にはまっているのは、人との交流があるからだそうだ。私も山での人との交流は大好きだ。
「どこいったの?」「どこどこからきたの」「あそこがいいよ」なんていう平凡な会話が楽しい。
岡谷に着くとAさんとさよならし、駅前ビルに入っているウナギ屋でうなぎ丼を食べる。常連客のいる人気店らしくお店も混みこみだった。
最近キリンラガーにはまっていた自分だが、朝日ビールのAさんを想って、スーパードライを飲んで高尾行きの電車を待つ。諏訪湖花火大会があるとのことで駅にはたくさんの人がいた。
花火は見たいけど人ゴミは嫌いなので、花火大会に向かう浴衣のカップルを横目に高尾行きの電車で東京方面へ。
最高の山行だった。やっぱり山は晴れると気持ちも良いもんだ。
ウスユキソウ
トリカブト