[スタイル、装備]冬季登攀、冬山フル装備、テント、ワカン無し、ダブル50m1本
[メンバー]いっくん、めろ
[コースタイム]
●3月24日(5h30min)
09:10 美し森駐車場
12:10 出合小屋
13:00 出合小屋
15:30 旭岳東稜(幕営)
●3月25日(13h)
06:10 旭岳東稜 出発
09:40 5段の宮
17:35 旭岳山頂
18:50 ツルネ東稜
19:20 ツルネ東稜2320M(幕営)
●3月26日(5h)
06:40 出発〜ツルネ東稜
09:20 ツルネ東稜下山
11:40 美し森駐車場
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<1日目>
週末の天気予報はあまりよくないようけど、清里に近づくと太陽が差し込んできて、大きな虹が現れてとても綺麗だった。
美し森駐車場は、他に1パーティいたが、ここから登攀用具着用で旭岳東稜ではなさそう。
いっくんにロープとテントなど共同装備を持ってもらったんだけど、いっくんは完璧な軽量化で、あんまり私のザックの重さと変わらない。
後で見てみると、シュラフは3シーズン用、水筒は高価だけど軽いもの、アイゼンの重さは歴然、ハーネスも登攀用にとアークの軽いやつ、ビニール袋一枚でも置いていくという徹底さ。やっぱ軽量化は大事だよね。
アイゼン買い換えようかな。あと、服ももっと動きやすいのにしようかな、、と思わせる。
出合小屋までは林道がしっかりしていて、地元の山岳会がよく整備しているので迷うことはない。
でもこの林道でまさかの渡渉地点が現れる。聞いてないよ〜と言う感じ・・・。
結構水の量が多いし流れもある。靴を脱ぐか迷ったが、渡渉経験豊富のいっくんの提案でアイゼンを履き
靴底を上げ、スパッツを履いて渡ろうということになった。
少しでも渡れそうな浅めのところを探し、枝とピッケルを支えにして器用ないっくんはチョンチョンと石の上を渡る。
私も負けじと男らしく渡る・・・水中にちゃっぽんしないで無事に通過できた。
渡渉は小屋の直前まで、6か所はあった。
小屋はストーブも置いてあった。山岳会の人がよく出入りしているのかな。
小屋から西に向う。他に入山者はなく、トレースはない。
ツルネ東稜の看板があるが、少し戻って、右股の尾根を直上する。膝くらいのラッセル。トレースはないが、赤テープがたまに木についている。
細いリッジや切れたったことろ、クライムダウンが必要な急なリッジなどが幾つかあり結構怖い。怖くてムリ〜ってとこはいっくんの通過を真似して同じ動きで渡ってみる。
私は今回に向けて1か月以上の運動不足による体力回復のため、直前に奥秩父を縦走してきたんだけど、いっくんは3週間山に行ってなかったので、ちょっとバテ気味。
なのでラッセルというラッセルじゃないけど、念願のラッセルを楽しむ自分。尾根の雪はサラサラで歩きやすいし気持ちいい。
幕営するのにちょうどよさげな平らな場所、以前他の登山者が使ったようなところがあったので今夜はそこにテントを張ることにする。標高2200mくらいかな?
曇っていたけど赤岳や東側の景色が良く見えるなかなか良い場所だった。
北風を防ぐために雪で壁を作るが、この日の夜はとても温かく風も吹かなかった。
夕飯は軽量化のため、いつもの鮭トバ、めざし、カマンベールチーズも少量ですぐに食してしまい少し残念・・・初日はもう少し担ぎあげても良かったかも。お酒は明日の軽量化のために残りは廃棄。
<2日目>
朝方まで雪が降リ続いたけれど、それほど積もっていなかった。
朝一は体力が出ない。いっくんは瞬発力があるけど、私はどちらかというと持久型。いっくんのラッセルの後に付いていく。
怖いナイフリッジを越え、結構急な雪壁もアックス頼りに登る。いっくんはちゃんと足を使って登っていたので見習ってみるけど、うまく刺さらないのでやっぱり手で登ってしまう。
100mくらいの雪面が現れた。表層雪崩が右から左から頻繁に起きている。見た目はそんなに大きな雪崩ではないけど、実際は立ってはいられないくらいの大きさなのかな・・。
ロープを出し、いっくんリードで木にランナーを取りながら安全なところまで登る。そこから上は雪崩の起きそうなところを避けて登る。
上を向くと稜線に出るような白い空間が見える。
「あれ〜旭岳巻いちゃったんだじゃない?もう稜線だよね」といっくん。(なんか残念そうな嬉しそうな??)
「あれを越えたら5段の宮なんじゃない??」と私。
いざ辿り着くと、そこは旭岳の肩のような小さなピークで、左に5段の宮が見えた。おー!!写真でみたあれが5段の宮だ!と少し感動。
でもいっくんはなぜかやる気がない。後から聞いたら、雪崩の巣で帰ろうかと思ったらしい。全て負担をかけさせていたので申し訳ない・・・
仕方なく取り付くいっくんをビレーする。1ピッチ目をお助け紐を使って登りたくないらしく、でも登れないので、雪壁で登ると決めて岩を左から巻いて行ってしまった。
でもそちらも相当悪いらしく、「かなり悪いよ!」と聞こえてくる。左上に行ったはずなのに、上から雪がドサドサ降ってくる。岩場に戻って奮闘しているようだ。
がんばれ〜!とビレイしながら寒くて足踏みとかジャンプとかしてみる。
1ピッチ目終了点手前の岩は相当悪かった。フットステップが一つあったが、手も足もないので、アックスひっかけて宙ぶらりんでなんとか登る。セカンドだからできること・・・。
それが3段目が4段目かもしくは5段目だったのか、、、わからない。
2ピッチ目をビレイしてると、下の方から男性の笑い声がする。「ここかー」とか言って話してる。誰か登ってきたらしい?でもそのあと彼らの姿は見えなかったので
オバケだったのかも・・・?
2か3ピッチ目すぐにいっくんがランナーを取ろうとしていると、アックスを1本谷底に落としてしまったようだ。
もう一本はピッケルなので、いっくんはそれ以降ピッケル一本で登攀。
私は結構アックス頼りに登っていたので、ピッケル一本じゃ無理・・・。ピッケル一本で登るいっくんさすが強い!
それからどのピッチも気が抜けない怖い箇所ばかりだった。急斜面を登ったと思って出たところは30センチ幅のナイフリッジで切れ立ったりしていて、
足を震わせながらなんとか通過したりした。ちょっとでもバランスを崩したら最期。これをリードで登れるようになるにはやっぱり経験かな、あとはやっぱり度胸。
5段の宮以外の核心は、上部の草付き。ここはさすがにピッケル一本じゃ登れないので、いっくんに私のアックス2本を渡しリードしてもらい、アックスを降ろしてもらいを2回続けた。
そこから「そのままアックスで登っていいよ」と言われたが、このルートの厳しさとかなりの疲労のため、全くリードで登れる自信がなくお断りする・・・。
いっくんも相当疲れていたようだった。ごめんなさい。
最後の1ピッチはランナーを取って行きたいため、トップのいっくんがアックス2本、セカンドの私がピッケル1本で登る。
夕方だんだん冷えてきて、吹雪いてきた。もう疲労でバテバテで、トイレも我慢してるしで、支点のスリングを回収するのも力を振り絞ってって感じ。限界の1ピッチだった。
登りきったところでロープをしまう。
頂上手前は少しアイスバーン。風はあったが、それほど強くない。時間は5時半を回っている。暗くなる前に下降地点を探し、ツルネに降りたい。
いっくんにオールリードしてもらったので、いっくんは頂上からは心身脱力したのかヘロヘロだった。
危うく雪庇を踏み抜くところで、あと50センチ違っていたら滑落していた。
私はまだ余力があったし、絶対に今日中にツルネから下降したいと思っていた。でも頂上から下ってから尾根が二つになり、しばし迷い不安になる。
ここは一般道だからそんな危険な道ではないはずと思い、アナログ地図読みの示した方向へそれらしき道に足を進めた。
途中暗くなってしまい、ヘッドライトでツルネの下降地点を探す。
アナログ地図読みでは距離感がつかめず現在地もわからず、いっくんのGPSのおかげで、下降地点を見つけることができた。
日が暮れるのがあと30分早かったり、ホワイトアウトだったら稜線でビバーグだったかな。
ツルネ下降地点から東、東へと尾根を下る。ここもラッセル、トレースなし。30分ほど下り、少し平らなところで休憩をする。
いっくんは本当にもう精神体力の限界のようだったので、そこでテントを張ることにした。
色んな人の山記録を読んで結構時間が掛かっていたので、もしかしてと想定もしたが、まさかの山中2泊目になった。
いっくんの持っていた春雨とポタージュと私の南瓜ポタージュを混ぜて簡単な夕飯だけど、あったかいスープで生きかえった。山で非常食を食べるのは初めて。
とりあえず翌日の行動用までの最低限の水だけは作る。さらなる非常事態に備えて、ガスを気持ち残しておく。昨夜捨てた酒が恋しい。
この日の夜は前日の温かさとは違い、すごく寒くて全然眠れなかった。
<3日目>
尾根を下るが、GPSで確認すると尾根を一本間違えていてこのままだと沢に入り面倒になるということで、登り返す。この登り返しのラッセルがとてもつらい。それに
昨晩、暗闇の中降りていたら、間違った沢に下りてしまっていたかもしれないと思うとあの時点でテントを張って良かったと思った。
隣の尾根を行くと、赤テープを発見する。赤テープは10m置きくらいについていた。暗闇では全くわからなかった。
途中でテープを見失い、また登り返しなどするが、後半は赤テープが、これでもか!っていうほど付いていて、無事に初日来たツルネ東稜の分岐に辿り着くことが出来た。
出合小屋は、地元山岳会の人か誰がが来た様子があった。林道を行くと、真新しい蛍光ピンクのリボンが付いていたり、ポールが立っている。
来たときにかなり苦労した川は、水嵩が減っていて、ほとんど凍っていた。渡渉のために手に入れた立派な杖となる枝は全く不必要になった。
初日の渡渉の苦労を二度としなくてよかったけれど、たった2日の間にこんなに状態が変わるんだと茫然とした。
今回は、オールラッセルで雪の状態もアックスが刺さりにくかったりあまり良くなかったけど、
結構キビシイ状態だったのではと思う。自分がもっと力をつけてリード出来ていれば、相方の負担なくもっとスピーディに登れたと思う。頂上まで連れて行ってくれたいっくんに本当に感謝。
それにしてもヒロケンさんが7回も行ったというこのルートの魅力がよくわかった。総合的な冬季アルパインの実力がないと行けない山だと思ったし、ある程度の実力が
あれば、毎年でも肩慣らしにでも来たい自分の力を試せる場所だと思った。
もっとアルパインに慣れて、実力をつけて今度はリードで再挑戦したい。
●ツルネ東稜から旭岳東稜と5段の宮
(クリックで旭岳東稜全貌)
雪崩の巣を登ると、5段の宮の手前の旭岳の肩につく。
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◎立ち寄り湯
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