[メンバー]いっくん、めろ
[レベル]2級下、核心部(V+)、ロープ7mm30m
[参考トポ]東京周辺の沢
[タイム]
10:00 入渓
10:15 F1 3m
10:40 15m滝
11:10 大岩
11:35 8m滝
12:05 4m滝
12:40 6m滝
14:00 6m滝核心を抜ける
14:20 6mCS
15:20 最後のCS
16:10 女朗小屋乗越
16:40 東沢に出る
18:00 小川谷の堰堤
18:30 堰堤を越えた河原から登山道へ
20:30 玄倉
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「小滝の連続する初心者向きの沢。春や秋に気心の知れたパートナーと静かな沢登りを楽しみたい沢(by東京周辺の沢)」
今年初の沢登り。再来週に2日間で沢に入る前の準備として、新緑を楽しみながらの簡単で静かな沢歩きのためにやってきた。
はずが、ボロボロの脆い岩でヌルヌルの沢であり、そして滑落数回、道迷い、気力体力ギリギリの沢登りになった。
女朗小屋とは、妙に気になる。玄倉のビジターセンターのお姉さんによると、鉱夫の慰安のためにあった小屋だという。
東丹沢にはあったが、ここ西丹沢にあったかの事実はわからないという。
林道を進み山北町関連の色んな看板が立った場所の左側から玄倉川に降りると川が二股に分れていて左側が女朗小屋沢だ。
沢を進むと、立派な沢だ。すぐに堰堤がいくつか出てきて脇についているハシゴから越える。
15m滝(いっくんリード)
右端を登る。ランナー2本目にかける辺りから、水量が多く、全身に水を浴びることになるため、巻いて登ることにする。
4m滝か5m滝?(いっくんリード)
右側にハーケンがいくつも打ってある。いっくんがランナーをとって登るが、3本目を取ったところで左気味にトラバースしたころで滑落。下までは落ちなかった。
本人の予想外で足を滑らせて滑落したようだ。3本目を取らなくても行けると思ってたが、3本目を取った後での滑落だったのでびっくりしていた。
6m滝(めろリード)
今回の核心。V+、中間地点の残置シュリンゲを使うとある。下部の方が少し悪い。残置シュリンゲにランナーをとり、その上はガバがあるので、両腕でガバをとって
抜けれると思った瞬間、足が滑ったのか滑落、と同時に残置ハーケンが抜け、下まで2〜3m滑落。取り付きの間中、全身ずぶぬれだったけど、水中に落ちて上着の中もびしょぬれ。
怪我はしなくてよかった、腰を打ったのみ。
ハーケンが抜けてしまったため、左から高巻。(いっくんリード)
私はもう全身濡れたため、寒くてフリースを着込む。全身震え、手や足の指の感覚もない。もうガバしかもつ勇気がなく、高巻きも足を震わせながら通過。
落ちて全身寒くなってから、もうテンション下がりふるえながら登る。
核心を越えても油断はできない。とにかく岩がもろすぎる!ポコポコ取れる・・・。そしてヌメリすぎ!
それ以降はいっくんについていくのみ。フリースなかったら体力消耗で歩けなかったかもしれない。
野猿棚も上部はロープを出して登る。
その上は水流が消え「狭く暗いゴルジュ」になる。
とても綺麗な場所。
6mCSが現れる。いっくんはすいすいと登っていく。難しそうに見えるが平気そうに登っているので、その勇姿を撮影していると、チムニーを抜けて左へ出ようとしたところで突然滑落。
落ちた!結構な高さが5mはある。えっ!と思った瞬間、直後、頭を地面にして逆さに墜落。
やばい!と思い、いっくんのところに駆けつける。とりあえず意識はあるのでよかった。
「だいじょうぶ、どこも痛くない、手足も動く」といっくんは手足を動かす。しばらく仰向け。ズボンの膝の部分が破れて出血している。
大丈夫というので安心したが、一応全身をチェックする。
足の指先から頭の先まで握って押してみるが、痛いところはなさそう。よかった、骨折もしていないみたい。
頭が心配だけど、最初足からチムニーの中を落ちて、最後に下が頭になったようでそれほど衝撃も受けなったみたいだ。
ガバを掴んで絶対いけると思った瞬間なぜか滑落したらしい。
少し休んで、落ちた衝撃で興奮状態の中、左から巻けるか二通り試す。2回試しに登るが、岩がもろすぎて危険すぎるので元に戻ろうとするが、それも必死の下降。
ハラハラしながら、滑落したら大きな怪我なので、無事に戻るのを見守る。
結局CSを超えることにする。いっくんが精神的に登れなかったら、未だ全身震える自分が気合い入れなおして登ろうと思ったけど、いっくんがまだ登れそうなので応援する。
6mCS(いっくんリード)
CSは右から上に出る。ザックがなくて元気ならば簡単だけど、私はもうガバしかもてないボロボロの身体にはきついので、A0で残置シュリング掴んでようやく登る。
登りきって一安心。でももうこれ以上、悪いところがないだろうと思うと、必ず裏切られる。
最後のCSは、「岩の下をくぐる」とあるが、やはり、岩の「下」なんてない。
岩の下は、崩壊した岩で埋まっている。
CS(いっくんリード)
最初、頭が入りそうな穴の石を取り除いて、石の下をくぐろうと試みたようだけど、結局出来ずに、わずかな隙間にランナーを取って右から上部に出る。
これまでの登りと比べたら楽だけど、良くない・・・。よくぞランナーをとってくれた。
ロープをしまってあとは、乗越へ向かう。
が、ここもかなり悪い。ジャラジャラの砂利でどこまでも崩壊するような急登、つかみたい草や根っこも土ごと抜ける。
足が取られるので、両足を突っ張って、両手をプッシュして登る。
ようやく女朗小屋乗越に出るものの、幅は50cmくらいで反対側はさらに急傾斜だ。
稜線に張ってあるロープを使わせてもらう。物好きな人が稜線ルートを開拓でもしているようだ。
東沢へは足場が悪いため懸垂下降する。2回目の懸垂下降は、直径5cmくらいの木で、いっくんが懸垂している最中、その木の根っこは土と一緒に動いている・・・
今にでも抜けそうだ。なるべく力を掛けないように、滑落してもいいように、でも抜けないように祈りながら降りる。
乗越から下ったところを東沢と勘違い、そして小川谷に出たと思い、上流へ沢を詰める。が、一向に登山道へ繋がる目印の堰堤は出てこない。
大きな滝を危ない高巻きで登ったり結構上まで詰めて、最終手段GPSで確認するとやはり場所がおかしい。
すでに心身ヘロヘロになりながら、登ってきた沢を下る。ここは東沢だったようだ。東沢をしばらく下降すると、小川谷に合流。
そして小川谷を上流へ進むとすぐに探していた立派な堰堤がようやく見つかる。
ここまで来れば、もう沢がないので一安心。装備を脱いで靴を履きかえる。
でもここから林道までの道も崩壊がすごく悪いらしい。
道はすぐに踏み跡があったのでよかった。いっくんが去年小川谷に来たときと比べると、かなり道が整備されていたようだ。部分的に足元が悪くて本当に注意しないと滑落してしまうところが何か所もあった。
とりあえず、真っ暗になる前に、危ないところは通過できた。
林道へ出るともう真っ暗。星空が綺麗。林道をへとへとになって歩いていると、いきなり沢のように大量の水が林道に流れてきてびっくり、いっくんお靴はびしょぬれ。
なんなんだ、ここは・・・。どこまで悪いんだ・・・。
玄倉へ戻るが、バスはもうない。タクシーでもいいが、今夜はビバーグ訓練をすることに。ツエルトを張って焚き火をしようと、結局来た道を戻り、キャンプの出来そうな河原で、火を起こす。
夕飯は、いっくんが持ってきた3色団子と私の非常食のカロリーメイト。またもや非常食を食べることになるなんて。ちなみに翌朝の朝食は固形ハチミツ。
私が滑落してから私は寒さでもう元気なく、後半はいっくんにリードしてもらってたのもあったためか、いっくんは旭東稜冬季登攀の草付きの悪い部分より今回は悪かったかも〜ギリギリだったと言っていた。
あと、普通なら巻道は簡単だけど、今回は巻道もかなり悪かった。また狭いゴルジュが多く、逃げる場所もなかった。遭難してもヘリなんて呼べない感じ。
ほんとにボロボロと脆いし、ヌメリがすごくて、いつ滑落するか予想できない緊張の沢だった。
いっくんが滑落してもほぼ無傷で、そのあともリードしてくれたので今回はちゃんと下山できたけど、一歩間違えれた遭難だった。
河原の夜は寒くて、朝方まで焚き火をする。
朝は、玄倉集落をお散歩、その後、ヒッチハイクを試みるが車が来ず、立派なビジターセンターを見学。
スタッフの方によると、2年前に女郎小屋沢で単独登山者が滑落し、1週間救助を待っていたらしい。
よほどガレ沢に慣れた達人なら毎回来ても崩壊で形の変わる沢を楽しめるかもしれないと思うし、ソロでも行けるんだろうけど、この沢は初心者には厳しい。
慣れていてもザイルを使いたい結構難しい沢だと思った。
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今回の反省
・仲間が滑落したときを想定して、その時どうやって救助を呼ぶか、また救助を呼びに行く時に傷病者に対して何をするか、何を持っていくか、どうやっていくか等を事前に考えておくべき。
・事前にもっとよく地形を把握していいれば、道迷いの失敗はなった。
・常に最悪の状態を想定して、防寒具や非常食は常備したい。