[ メンバー/スタイル ]
単独、テント縦走
[ タイム ]
<1日目> 雨、夕方曇り
0610 信濃大町〜扇沢〜黒部ダム
0810 黒部ダム
1125 平ノ小屋 1200
1500 五色ヶ原(幕営)
<2日目> 曇り
0440 五色ヶ原
0510 鳶岳
0620 越中沢岳
0800 スゴ乗越
0840 スゴ乗越小屋 0930
1025 間山
1200 北薬師岳
1300 薬師岳
薬師峠(幕営)
<3日目> 晴れ、午後雨、夕方曇り
0450 薬師峠
0530 太郎小屋
0730 薬師沢小屋
0910 B沢
1035 高天原峠
1115 高天原山荘
高天原温泉(往15分/復20分)
1310 高天原山荘
1355 高天原峠
1530 雲ノ平小屋
雲ノ平キャンプ場(幕営)
<4日目> 快晴、昼大雨雷、夕方晴れのち曇り
0520 雲ノ平
0620 祖父岳
0800 水晶小屋
0835 水晶岳
0925 温泉沢ノ頭
1130 赤牛岳
1440 奥黒部ヒュッテ(幕営)
<5日目> 快晴のちくもり
0345 奥黒部ヒュッテ
0540 平ノ渡場 0620運航
0630 平の小屋下
1000 黒部ダム
[ Info. ]
・黒部周辺は水が豊富。雲ノ平小屋のように小屋は雨水(1L100円)だけどテント場は豊富な水が飲みたいだけ飲める。
・奥黒部ヒュッテはお風呂に入れる。シャンプーボディソープつき。男女共同なので交代で入浴。500円。洗濯も可能。黒部川で岩魚釣りが楽しめそう。
・温泉沢の頭〜高天原の道は点線ルートだが、道はよく整備されているとのこと。
・JRの信濃大町〜黒部ダムのアルペンルート切符は往復5000円弱で片道買いより700円安いけど、返金不可なので要注意。
・ロッジくろよんのテント場はあまり使われていない様子で、トイレや水道があったけど使えるか不明。草がボウボウだった。
・薬師岳小屋のトイレは高い〜300円もする。
・高天原山荘、奥黒部ヒュッテは昼飯作ってません。雲ノ平山荘は15時までラーメンとかおでんとか色々食べれます。
------------------
[ 1日目:黒部ダム〜五色ヶ原 ]
18切符で前日終電で。信濃大町のステビバは高瀬ダムへ行くというおじちゃんんと二人。駅中で寝れないのであまりよい寝どころじゃない。若者や大量の鳥の声であまり寝れず。
おじさんの高瀬ダム行きタクシー仲間は翌朝見つかったようでよかったよかった。今度は高瀬ダムから入ってみようかなぁ。
扇沢に着くと、トロリーバスの始発に乗ろうとチケット売り場は長蛇の列。100M以上。
黒部ダムに着くと、雨が降っている・・・。雨具上下を着てちょっと残念な気持ちで出発。晴れてくれ〜!雨の縦走はトラウマ。。。
(それにしても妙にザックが軽い。今回は5食分を最近教わったお粥ドリア(白米の半分の量プラススープの素)にしたためかな??)
五色ヶ原へは、一ノ越経由で行くか、平の小屋経由で行くか、ロッジくろよんで決めようと思っていた。
ロッジくろよんに着くと、雨は止む様子はない。一ノ越経由で稜線を行っても
雨の視界のない寒い歩きだろうし、それなら時間の短い樹林帯の方がいいかなと平の小屋経由で行くことにする。一ノ越へのいきなりの急登を見て怖気づいたのもあるんだけど。
平の小屋では二人の単独登山者に会った。二人とも12時の船に乗って、明日読売新道を行くという。五色から降りてきた単独男性は読売新道は長く、登りより下りがきついという。
読売新道について登りがいいとか下りがいいとか、全く考えてなかったので、反対回りにしいようか迷う・・・。テント場の三俣蓮華までは13時間みておけばいいとのこと。
そう言い残して、船の操縦士である小屋のご主人らは12時の船で行ってしまった。
次は14時だし、もともと決めたスケジュールで行こうと、平の小屋を去り五色ヶ原へ向かう。
五色への道も結構急登なので、雨でどろんこの道は登りの方がよさそう。途中大雨になるが、五色へ着くころには雨が止んだ。
それにしても、調子があまりよくなく、
ずーっと足が地に着いていないような、空中を歩いているような頭が朦朧とした感じだった。今回の山行を少し不安に思う。でも五色までのコースタイム4時間半を3時間で登ったので
頭は動いてなくても足は動いていたみたい・・・。
五色は曇っていたけれど、とっても綺麗な場所だった。
7月頃が見ごろらしいけれど、花がまだたくさん咲いていて、とても好きな場所だった。2泊くらいしたい場所だった。
(これまで山では酒は飲まなかったんだけど、下界でのストレスフルな日常生活の影響か、、、山で酒を飲むのが楽しみになってきた今日この頃であり直前にコンビニで安いウィスキー瓶を
買ってきたんだけど、なんと途中で落としてしまったらしい・・・。味見で一舐めしただけだったのに・・・旅のお供が〜!!ザックの脇のボケットは大事なものを入れないか
くくりつけてきたけど、やっぱり何もしなければ落としてしまうものなのね・・・)
[ 2日目:五色ヶ原〜薬師峠 ]
4時半になっても暗い。木道なので道に迷うことはないだろうと、ヘッデンで出発。今日のコースタイムは12時間なので明るくなるのを待ってはいられない気分。
雲が多くて、朝日は見れない。五色の景色を名残惜しみながら暗闇の五色ヶ原を後にする。
鳶岳につくと、単独の若いカメラ男子がいた。私が単独というと少し目を丸くさせていた。行先は同じで薬師峠。
五色から鳶岳に出る道は「立ち入り禁止」になっていて、じゃあ一体
どこから五色に繋がっているの?と謎だった。
今日は、昨日のような足のフワフワ感はなく、ちゃんと地に足をつけて歩けている。とりあえず一安心。よかった。
乗越というと、私のイメージだと名前のないきつい山、なので次の休憩はあそこの越中沢乗越か〜と向かっていた。長い道だったと思ってたどりつくと、乗越じゃなくて越中沢岳だった。
得したような・・変な気分。後から着いた単独カメラ男子に、乗越は峠のようなところですよ、と言われ納得がいかない。。。
大きな荷物で重装備の立教大山岳部に先に行かせてもらう。彼らは剣から槍への縦走らしい。みんな真剣。
スゴ乗越小屋で本日2度目のごはん。最近定番の台湾乾燥野菜入りちゃんぽんを作る。
そこに一人ちっちゃいの男の子が走ってきた。7歳の小学2年生らしい。私の甥っ子と一緒だ。お父さんと二人で山に来たみたい。
「そこに座りなさい」「これ、丸太??」「そうだよ」「誰が切ったの?」「・・・」「お侍さんが切ったの?」「・・・」「お侍さんが弓と剣で切ったの?」「・・・」
「お侍さんが切ったのかもね〜」あまりに面白いので話しかけてみる。疲れてないの?と聞くと、「ぜーんぜん、疲れてないよ!パパは疲れたって言ってるけど」
男の子は、ハエを殺すので必至だ。今日で4日目、9日間の縦走らしい。すごいな〜。
「ラーメンできたよ、食べなさい」「これ何のご飯?」「ブランチ」「ぶらんち?」「ブレックファストとランチの中間だよ」「ふーん」
子どもとの会話は大変だ。ごはんいらないと言ってたのに、お父さんの分まで食べて困らせていた。
北薬師岳への道は長く感じた。視界も悪く周りは真っ白。北薬師岳に到着してほっとして一息入れていると、雲が切れて有峰湖が見えてきた。そうしてどんどん
視界が開け、空が広がり、稜線が現れた。
晴れた!!!
重かった腰が軽くなり、薬師岳へ急ぐ。綺麗な薬師岳の姿とそれに続く稜線が現れ感無量。いつまた曇るか分からないので、薬師岳を写真に収め薬師岳と記念撮影。そして予想通り、薬師岳に着くまでには
また真っ白い雲に覆われてしまった。
薬師岳の登りはもう足がへとへとだった。ようやく到着して、時間に余裕があるので晴れて視界が開けるまで待とうとコーヒーを沸かす。
1時間以上滞在したけど、晴れずに周りは真っ白。まだ体調不良みたいで
コーヒーでお腹がゆるくなったので仕方なく薬師岳を去る・・・。
薬師岳では、珍しくテント装備の単独女性に会った。黒部五郎から来てスゴまで行くようだった。薬師岳へは小屋やテント場から空身でピストンする人も多かったけど、テント場からピストンは結構あるよな〜。
薬師峠のテント場はものすごい人がいた。この山ブーム、やっぱり百名山の近くはすごい。
テント隣の名古屋のおじさんと仕事で20日間山に来たというアーティストの嘉納さんという方とお喋りをして過ごす。
夕方遅くに、単独カメラ男子がヘロヘロになって到着していた。ちょっと放心状態・・・体力ギリギリだったらしい。彼も5日間で新穂高を目指すらしい。大丈夫かな??
この日も雲が厚く、綺麗な夕焼けは見れなかった。
[ 3日目:薬師峠〜高天原〜雲ノ平 ]
「すごい星!流星群かな!」
すでに支度をしている登山者の声で目覚め、テントから頭を出すと、ほんとにすごい星!!ちっちゃな星もたっくさん見える。流れ星も見えた。いい天気だ!今日はいい日になりそう!
名古屋のおじさんも起きてきて星空を眺めている。1週間山に来て、ずっと雨、こんないい日に山を降りなくてはならないなんて・・・と残念そう。去年の私の北縦走もそうだったな・・・
今日は高天原泊まりで行程も短いので、のんびり歩く。高天原への道は緑が心を癒してくれる。途中九州大ワンゲル部の後ろを歩く、薬師から雲ノ平、三俣経由で新穂高に下りるそうだ。
さすが貧乏学生、九州から始発で丸一日かけて18切符で来たらしい。という自分も埼玉から18切符で6時間かけて来たのだけど・・・同じ貧乏仲間。
彼らは雲ノ平、私は高天原なので薬師沢小屋でさよならする。彼らはあの雲ノ平への急登を登らなきゃならないなんて大変だ〜
高天原への道は黒部川に沿っていく。最初は河原歩きで快適。いわなを探しながら歩く。それにしても少しでも水が増えたらこの道は通れない・・・。
結構河原歩きは長く、そしてAからB沢辺りは、落ちたら黒部川へジャボーンの岸壁に沿って行くのでかなりアドベンチャラスな道。初心者には難しいしクライミングやってて何よりな道。
そのあとは、結構な急登。道もどろんこ。梯子が連続する。雲ノ平への道を大変だなーと思っていたけど、こちらも意外に大変。ようやく高天原峠に到着して雲ノ平への道を確認する。
最初はのんびり昼寝をしながら高天原を目指していたのだけど、雲ノ平から読売新道への時間もあまり変わらないし、水晶岳に行ってないことに気付き、
温泉に入ったら雲ノ平まで行こうと思いたったのだった。
高天原峠から山荘までは結構下る。まだかまだかと思っていると、綺麗な景色が広がった。雲ノ平より野生的な雰囲気で美しかった。
高天原山荘は立派な小屋だった。まだ登山客はほとんどいない。着替えだけ持って
温泉へ行く。白濁の温泉ですごく気持ちよかった。一人独占状態で女性専用の美人の湯と露天風呂を楽しむ。
温泉から戻ると、山荘に宿泊する登山客がたくさん到着していた。「おっ湯上り美人が来たな〜」と缶チューハイ片手のおじちゃん。そのおじちゃんと奥さんの石川から来たご夫婦、名古屋から来た単独男性としばしお喋り。
今夜小屋に泊まるのをやめたので、実は一食分足りない。食料を無駄に持っていないか聞いてみると、
男性の方が、カップヌードルが余ってるのでくれるという。ありがたくいただこうとすると、それを見たご夫婦が、「カップヌードルの愛だ。運命だ。」とか言う。
「あなたまだ独り身でしょ?一緒に雲ノ平行けばいいじゃない。」とおばちゃん。面白いおじちゃん、おばちゃんだ。そんなみんなで記念写真を撮りお別れする。
今度おじちゃんおばちゃんに会いに石川に遊びに行こう。
貧乏人の自分は雲ノ平を目指す。今度来た時はランプの宿に泊まりたいな。
お風呂に入ってパン食べて元気になったので、足も少し軽い。峠までは意外にすぐ着いた。ところが峠から結構な登り。これにはヘトヘト。
雨にも振られ、森の小道とかいう何だか新しそうな階段状の道で疲れる。
(私が、高天原から雲ノ平へ行くまでに、プラティパスのみ片手にすれ違い追い越す人がいた。後で聞くと、雲ノ平小屋の人だった。高天原まで下り50分でいつも温泉入りにいくらしい。)
ようやく雲ノ平へ到着。二度目の雲ノ平、ほっと一安心。それにしても小屋が立派で洒落ている。ビールを購入してテント場へ。ここのテント場も人がたくさんいた。
薬師沢で一度さよならした九州大の子たちに挨拶する。
1パーティで女子一人だった子と話すと、あの登りで膝を怪我してしまったらしい。荷物は男子に持ってもらってきたとかで、ちゃんと荷物を持ってあの急登をリベンジしたいらしい。ちなみにこの子は1年生。
何パーティか北アルプスに入り、たぶん一番優しいコースなのかな。
テント場では、単独男性の二人とまだテント泊に慣れていない単独女性と4人でお喋り。テント場はものすごい蚊がたくさん飛んでいた。
この日も雲が多くて綺麗な夕焼けは見れなかった。
[ 4日目:雲ノ平〜水晶岳〜赤牛岳〜読売新道〜奥黒部ヒュッテ ]
コースタイムは12時間。読売新道は長い、大変、水場がない、など不安要素がたくさんあるので、とりあえずどこでもテントが張れるように、水を3リットル汲んでいく。
前日までまあまあ快適で2/3くらいのタイムで歩けたけど、ザックが重くなり、足が重くてなかなか辛い。3キロ増量でここまで変わるか・・・。
朝の天気は最高!これまでで一番いい天気!雲ノ平にきてよかったー!!!雲がいろんな表情を見せてくれてとっても綺麗。祖父岳からの展望は360度で最高だった!黒部五郎岳、薬師岳、水晶岳、三俣蓮華岳、鷲羽岳、雲ノ平、そして槍が綺麗に見えた。
本当に贅沢な景色でとても幸せだった。
祖父岳の頂上には、九州大ワンゲル部がいて、私が着くとみんな挨拶してくれた、うぃーっす。とかって(汗)彼らは上半身裸になって騒いでいてみんな楽しんでいる。
ここで本当にお別れなのでさよならする。良い山行を。
景色も空も雲もとてもきれいなので写真を撮りまくる。まだ8時前なのにだんだん雲が増えてきて、槍ヶ岳も見えなくなり、東からどんどん雲が押し寄せてきてもうすぐ雲ノ平も雲の下。
水晶岳から赤牛岳はとても近く見える。水晶岳から3時間もかかるようには見えない、1時間でも行けそうに見える。ところがこの道が長かった。
水晶岳まで結構疲れてしまったからか、水が重いからか、近いだろうと思ってしまったからか、足が重くて早く歩けないし着かない。見た目も大した急じゃない道なのに。
あとから出会った隊長も水晶から赤牛はなだらかに見え近そうなのに、なかなか着かないしものすごく疲れる道だったと言っていた。
赤牛岳に着いたら、コーヒー沸かして、ごはんにしようと楽しみにしていたのに、到着したらいきなり大雨。通り雨ではなさそうなので、カッパ上下を着る。すると雷が鳴り出す。
まじかよ!!!茶を沸かしてご飯なんか食べている余裕はない。読売新道はとても長いし、ガレガレな道。
地図上の「悪条件での利用はやめること」や水晶ピストンで会った登山客の「大丈夫ですか?
午後は雷だそうですよ」という言葉が頭の中を過ぎり不安になる。まさか標高3000M近くの稜線で雷雨になるなんて!!!
雷が頭の上でゴロゴロ鳴り出す。山での雷は初めて。とにかくもっと下に降りたい。確か前方に単独男性がいたはず。雷も直上ではなさそう。
不安なのでとにかくその人に追い付けるように行こう。先を急ぐ。稜線の遠くを見ると青いカッパを着た男性が見えた。
ものすごく歩きにくい岩のガレ場を滑るように走り下る。お腹も空いてシャリバテでふらふらだけど、口にもの入れている余裕はない。
雷が鳴ると、ザックに落雷しそうなのでザックを投げ捨て、腰を低くして岩陰に隠れる。
これを10回以上続けて下り続けると、岩陰に身体を潜めているブルーのカッパを着た男性と会う。
男性はもう20分も待機しているらしい。やっぱり雷が止むまで動かないで身を潜めるべき?私も同じく岩に隠れることにした。反対側の空は青空が出てきていることを伝えると、しばらくして
男性は、雷が遠そうだから行くという。私も一緒に行こうと思っていると、男性はめちゃめちゃ早い勢いで下山していった。
レディを一人置いて先行くかー!!?待ってくれー!!と後を追う。
が、なかなか追いつかない。「は、早い!」やっぱり妻子ある人はいざという時早いなー。ここで死んだらこのデジカメに移っている写真が仏壇に飾られるのかなーこの写真かなぁ〜あの写真かなぁ。
でも落雷とともにデジカメも破壊されるかな。とか頭の中でいろんな考えがよぎる・・・。
雷が頭の右後ろで鳴り響くので、恐怖でものすごい勢いでガレ場を下る。早く下れるように、非常用の水を2L捨て身を軽くする。雷が頭上に来ないうちに絶対に小屋まで行く!
今日はいい天気で裏銀座は綺麗だろうな〜向こうに変えちゃおうっかな〜と朝は思っていたが、今、隣の裏銀座は真っ黒な雲で覆われ雷が鳴っている。読売新道より登山客は多そうだし大丈夫だろうか、、、と思うが人のことを
心配している場合でもない。
一人置いていかれるのは嫌なので男性に追い付こうと諦めず走り下ると、そのうち男性がバテタのか止まっていてどうぞ先に、という。いいえ、どうぞ。と先にいってもらう。
後で聞いたら、私があまりに速いので追い付かれないようにスピードあげたとのことだった。。。意味がわからない(笑)
樹林帯に近づいたところで、男性は安心していたが、樹林帯でも関係なく落雷で亡くなった人を知っていたので、稜線よりはまだ気持ち安心な感じがあるが、全く安心できず、小屋まで恐怖は続く。
樹林帯に入っても雷はおさまらなかったし、むしろ近づいていると感じることもあった。生きた心地がなかった。読売新道の記憶もない。雨もひどく降り続いた上であのスピード、よく足を滑らせなかったと思う。
この男性、話を聞くと、なんと消防庁の救助隊長だった。なのに女性を見殺しにしようとするなんて〜!!
隊長と恐怖におびえながら小屋まで一緒に下る。消防庁なのに雷の対処方法を知らないっていうし・・・
長いひどい恐怖の雷道だったけど、読売新道の記憶はなく、無意識に恐怖を紛らわすような隊長とのお喋りの記憶だけ。
小屋に近くなってようやく雷が止んだ。
あれほど早く下ったのに、コースタイム5時間のところ3時間かかった。それにしても長い雷との恐怖の時間だった。
でもとにかく恐怖の時間が一人じゃなくてよかった。
一人だったらあの長い時間、精神的に参って歩けばいいのか待てばいいのか判断に迷い、小屋まで辿りつけていなかったかもしれない。
小屋に着くと、天気は回復し太陽が出ていた。砂浜の様なテント場は快適だった。ずぶぬれになった靴やシュラフや本やカッパを砂の上に広げて乾かす。
奥黒部ヒュッテには、お風呂があって500円で入れるらしいと隊長が言う。隊長が貧乏人の私のためにビールとお風呂をおごってくれた。
それからしばらくお喋りの隊長と楽しいお喋り、そして精神的にバテタので安心して、たらふくビールを飲みお腹いっぱい食べる。
お風呂は小屋泊のお客の夕飯時に空いてる風呂に入れる。
浴槽は家庭用風呂で一人用、洗い場は広くて3か所あり、シャンプ、ボディソープまである。
驚いたのは蛇口からお湯が出ること!あったかい!どうやって温めてるのか分からないけど、水は豊富なので浴槽にあったかいお湯をたっぷり使って身体をほぐす。
昨日の高天原温泉と同じくらい気持ちよかった。
あー生きててよかった〜
風呂上がりは酔いがひどくてふらふら。外のベンチで座り込み、小屋泊まりの登山者とお喋り。
水晶小屋から来たというご夫婦は、なんと3時半に水晶小屋を出発して13時半に奥黒部ヒュッテに着いたらしい。読売新道下りで10時間。
読売新道下降時に会った、へとへとになって座り込み足をさすって「久しぶりに人に会えて元気になりました」「岩場とか苦手なんですよ」と言っていた
サンバイザーを着けたメタボ気味の単独のお兄さんも無事に小屋に着いていた。
ちなみに彼は4時に水晶小屋を出て15時過ぎに到着・・・11時間以上もかけて。。。ちょっと心配だったので無事に小屋に着いていてよかったよかった。
[ 5日目:奥黒部ヒュッテ〜黒部ダム ]
朝一の6時台の船に乗りたい。小屋からは2時間半見ておいた方がいいと小屋のご主人が言う。道もアップダウンが多く、歩き始め20分のところに落ちたら最後の危険な場所があるという。
三日連続で見る変な悪夢で少し寝坊しながら、4時前には出発する。確かに梯子が多く、登っては下っての足の負担が大きい道でコースタイムぴったりの2時間かかった。
小屋泊まりのご夫婦もサンバイザー兄さんも同じ朝一の船に乗るべくすでに到着していた。
平の渡の看板には、見えるところまで下りること、人影が見えない場合、船を出さないというようなことが書かれてあった。
船は立ち乗り。(中で座れるけど、みんなザック背負って景色を見ながら10分の航行。)
黒部湖から眺める立山の山々やきらきらの水面を見て、あー戻ってきたなーという実感。
平の小屋から黒部ダムは、やはり初日と比べると結構足に負担のくる長い道に感じた。
盛りだくさんの旅だった。雷を除けば天気も悪くなく、贅沢な夏山だった。どうもありがとう。
今回の山行でもまたたくさんのことを山から学んだ気がする。とくに雷から。下山後、まさにあの時間帯に槍の頂上で落雷で亡くなった人がいたと知って驚いた。
しかも下界でも落雷で亡くなった人がいたようだった。すごい雷だったんだ。自分が死んでもおかしくなかった。
雷の対処法をもっと勉強しないとと思った。天気や雲の動きについてももっと勉強しないと。
(8/18〜19隊長の記録)
--------------------------------------
●立ち寄り湯、蕎麦屋(穂高温泉郷)
隊長が東京に帰るとのことでご好意で車に乗っけてもらい、穂高温泉郷に立ち寄って気持ちいいい温泉と美味しい蕎麦を食べてきました。隊長大変お世話になりました!
穂高温泉郷日帰り温泉「穂高温泉健康館」400円
思えば5日中3日風呂に入れるという風呂三昧の旅だった。
うまくて安い!30分も並んだ蕎麦屋は初めて「くるまや」
ざるそば180g490円 うますぎてぺろっと行けます。生わさびもうまい。
--------------------------------------
●番外編(高天原 夢の平・竜晶池)
高天原でお会いした名古屋のお兄さんが、私が行かなかった高天原温泉よりさらに奥にある夢の平や竜晶池の写真を送ってくれました。
とっても綺麗なところ。いつかランプの宿に宿泊した際にはのんびり足を運んでみたいな〜と思う。やっぱり高天原はいいところだなぁ〜ずっとこのままでいてほしい。
夢の平
夢の平
夢の平
竜晶池
--------------------------------------
●雷対策
山と溪谷社刊「山と溪谷」2000年5月号付録「安全登山ノート」「カミナリが近づいたら」より
(監修:北川信一郎氏(元埼玉大学教授・理学博士))
大原則として雷が近づいてきたら 姿勢を低く保つ。
また雷の活動が弱くなるのを待ってから安全な場所へ避難する。
<落雷しやすい場所と対応の方法>
・平原の場合:そこにある高い物体に落雷しやすいので窪地や低いところで姿勢を低くするか、寝そべる。
・山頂の場合:山頂は落雷しやすいので斜面(中腹)に降りて姿勢を低くする。
・岩場の稜線:落雷しやすく、特に岩場であると他のところに落雷があってもその雷電流が流れてくる。そこで稜線・岩場からはなれて斜面や窪地で姿勢を低くする。
・テントの場合:落雷しやすいので山小屋に避難するか、テントから離れて姿勢を低くする。
・稜線や平原にある避雷針のない建物の場合:落雷しやすいので屋外の窪地などで姿勢を低くする。
・樹木の近くや森の中の場合:樹木に落雷しそこから被雷する危険がある。できるだけ遠ざかり姿勢を低くする。森の中だったら森から出る。
<比較的安全な場所>
・鉄塔、ポール、煙突などの高いもの(高さが4〜30m):高い物体の先端の真下から高さを半径とした円内でありそのものから2m以上はなれている場所。(4m以下の場合は保護範囲はない。)
・高さ30m以上の高いもの:物体の先端の真下から30mの半径の円内で、そのものから2m以上離れている場所。
・電線の下(高さが30m以下の電線、配電線など):電線の真下が一番安全だが、高さの2倍の幅までは安全である。
あくまでも電線の下であって鉄塔の近くだったら鉄塔から2m以上離れる。
・電線の下(高さが30m以上の電線、送電線など):一番上の電線の真下で幅が60mの範囲。真下が一番安全。
<安全な場所>
自動車・電車・本格的な建物・避雷針のある山小屋など。
--------------------------------------
●雷サバイバル知識 ★★★
かなり詳しく具体的に書かれています。雷被害者救助方法なども書かれています。
「雷の知識 (落雷対策)」(あおば屋様HPより)
(以下一部抜粋。)
★雷の性質をこれだけは覚えておく。
(a) 大気が不安定な時に、局地的上昇気流によって、雷雲(積乱雲)が発生する。
(b) 積乱雲がもくもくと成長するのが見えたら、数分後に落雷の危険がある。
(c) 「ゴロゴロ」と雷鳴が、かすかにでも聞こえ始めたら、そこに落雷する危険がある。
(d) 雷は雨が降る前に発生し、落雷する。
(e) 落雷の危険は、雷雲が消滅するまで続く。
『雷鳴が聞こえた時には、すでに落雷の危険域に入ってしまっている。』
『激しい雨が降り出してから避難するのは、完全に逃げ遅れ。』
『木のそばへの避難は、自殺行為。林や森の中は危険な場所。葉や小枝を含むすべての樹木から4m以上離れる』
『属が雷を引き寄せるため、体からはずすとは全くの誤り。落雷時に雷の電流の多くが金属に流れる分、人体を流れる電流が減り、生存確率は上がる。』
『周囲への落雷が激しく、逃げられない時は、その場で両足を揃えてしゃがみ、目を閉じ、指で両耳穴をふさぐ』
『避雷針設備のない山小屋では、柱や壁から出来るだけ離れ姿勢を低くする』
いかに自分が危険な状態にいたのかよくわかった。ほんとに落雷にあっていてもおかしくない条件だった・・・。
--------------------------------------
●落雷事故死亡リスト(1955年〜)
どんな山でこれまで落雷があったのか、とても興味深い。
「落雷事故死亡リスト」
(あおば屋様HPよりリンク)
●雷にあわない方法
避難する時の姿勢が分かりやすい写真
「山と雷〜避難と対処〜」 (国立青年教育振興機構HPより)
--------------------------------------