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2013年2月9〜10日 八ヶ岳 赤岳天狗尾根

[ メンバー/スタイル ]
2人/冬季アルパイン

[ 装備 ]
冬壁装備、50mロープ1、ストック2、ワカン、3シーズンシュラフ、厚手ダウン、テント+外張り、食糧3日分、ビーコン・ゾンデ、スコップ

[ ルート ]
1日目
0915 美し森駐車場
1200 出合小屋
1615 森林限界2500m(幕営)
2日目
0730 2500m
0915 2段の岩場を超える
0945 大天狗
1100 小天狗
1130 稜線
1330 ツルネ〜ツルネ東稜
1530 出合小屋
1730 美しの森駐車場

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超久しぶりのアルパイン。
でもなんだかイマイチ達成感のない課題の残る山だった。
外岩登りも半年してないし、ハーネス装着、ギアやロープ操作も久しぶり。 寒くて思うように身体動かないし、リードしたいけど、手もすぐ張るし身体がついていかないし、身体が動かないから恐怖心も大きい。 手も冷たくて感覚ないし、リードするまでの自信がでない。 時計も壊れてもってないので、自ら動く意思が薄れ、、、だめだめでした。
唯一よかったのは、脚が痛くならなかったこと。雪質が脚に優しかったのかな。まさか治ったなんてまだ期待しないようにしよう・・・。

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Iさんも正月ぶりの久しぶりの雪山。最初権現東稜に行こうと言われたのだけど、 私の脚の具合とクライミングをやってない状況、お互いの落ちた体力を考えて、天狗尾根にいくことにする。

美しの森駐車上には車は3台。後から来た2人男性パーティは旭東稜にいくとのことだった。

林道最初から雪が多いけれど、人が入っていてトレースがある。去年3月に旭東稜に来た時は、最初からずっとラッセルで 出合小屋まで6回程の渡渉があり、一つ一つ超えるのにかなり苦労して渡り、小屋にいくまでに相当気力が疲れた。
今回は雪ですべて沢は埋まっていて、渡渉地点は無しでトレースばっちりだった。 でも去年と同じくらい3時間かかったのはやっぱり体力がないからか・・・。

林道を歩いていると、20匹くらいの鹿の大群が林道を横切って急斜面をラッセルして駆け上がっていった。こんな大群は初めて。キーキー鳴いている。 それにしてもあの筋力羨ましいわ〜

小屋からは赤岳沢方面へ。途中赤テープのついているところから急斜面を登り天狗尾根に取りつく。 天狗尾根に入る地点は事前に色んな人の記録を見たら3か所くらいあるらしかった。

天狗尾根は権現岳や旭岳、右に長い親教寺尾根を眺めながら登る。2500mの森林限界まで太めのナイフリッジ1か所、凍結した木の生えた2m岩壁くらいで 悪い箇所は無い。 最初のリッジが出てきた辺りでアイゼンを着けた。

登りは前日準備で2時間睡眠だったので、眠くて眠くて途中歩く気力がなくなり昼寝したいくらい。 ものを口に入れて脳を動かそうとするけど、まだ眠い。重い脳と身体をなんとか動かして幕営地点まで辿り着く。こんな眠い山は初めてだった。

2500mの森林限界の岩場の手前で幕営。
風の通り道にテントを張ってしまったため、もう少し下の樹林帯に張ればよかった。

水を大量に作って、プラティパス湯たんぽつくって3シーズンシュラフで耐えられるのか不安になりながら就寝。
すぐにIさんが悲鳴をあげる。Iさんの台湾産プラティパスがシュラフの中で漏れたらしい。しかも500mlくらい!!!
シュラフ水浸しでタオルで拭いてなんとか大丈夫と言っている。私はあまりに眠くて、大丈夫と聞いてすぐに寝入ってしまった。
一回深い睡眠に落ちたけど、下半身が寒くて寒くて指先の感覚がなくて、朝まで脚をさすりながらうつらうつら。

早朝4時半、Iさんが靴下を乾かしたいと言うので、予定より早めに起きて、ガスで乾かそうとするけれど、相当濡れている。
まさかのプラティパスの水漏れは想定外だったらしく、靴下は替えのものも履いていたので2枚とも濡れ致命的。 ぐっしょり濡れているので冬用シュラフだけど下半身相当寒かったようだ。 靴下は乾きそうにないので、私の替えの靴下をはいてもらう。シュラフもびしょ濡れなので、もう一泊テントで濡れたシュラフは 厳しいので、今日はせめてたき火のできる小屋までは絶対降りたいと言う。

朝のんびりしてたら、続々と3パーティくらい登って行った。

夜も朝も満点の星だったけど、風が結構強いので寒い。青空は広がっているのに、風が強く寒いから、天気が良い気持ちになれない。

出出しから結構大変。大きな岩がつき出ていて、下が切れ落ちてる。2mくらいだけど、しゃがんでダブルアックスを効かせて、超える。 両手アックスを効かせていたので 安定してたけど、見てるIさんは、かなりヒヤヒヤしたらしく、ここが一番怖かったとのこと。

次の3m程の草つきの岩もちょっと悪い。先行はさっさと行ってしまったようだけど、一応ロープ出して登る。
もう腕の力がないし、身体重いので、ロープあって安心。
ただここでIさんなんと確保器を忘れたと気付く。イタリアンヒッチでビレイです。そして、私はIさん登ったあとにロープ末端を自分に結んでないことに気づき、 ロープが上にあがっていくとこだった・・・。でも引っ張られて結べないので環付でなんとかくくりつける。やばいミス多すぎ。

次の岩場は2段の岩場。ここはヒロケンのチャレンジでは、「右の草つきを巻く、左の岩壁はランナーとれず悪い」などとあったが、右はかなり切れているので行けない。
昨日登っていた人は相当左の壁から登っていた。今日の先行は真ん中あたりを登っているが、10mもランナーを取らずに登っている。
Iさんリードでちょっと先行パーティよりちょっと左の木がいくつか生えているラインで登る。3か所ランナー取るけれど、最後の細木は折れそうだし悪かった。。。。
何より、腕がすぐに使い物にならなくなって、乗り越えるのに一苦労でヒヤヒヤ。あきらめて最悪テンションかけるところだった。もっとクライミングやって腕の力あれば、こんなところで時間かけなくて 済むのに、出来ない自分に自信喪失。。。

いよいよ大天狗が見えてきた。先行の3パーティが大天狗上部で6人くらいいる。
渋滞かい〜!と思ったら、あれ、あれって直登ルートだよね。。。直登ってかなり難しいはず。みんなすごいな・・・と思っていたけど、撤退している模様。
我々は大天狗の右を巻く。まだ今日はだれもこちらから行ってないみたい。

右巻きルートはリードしてと言われ、リードしようと思うけれど、こっちが核心の筈だし、さっきの2段の岩場より悪いとなると、 手も寒さで感覚ないし、うーんと悩んでさっきの自信喪失でやると言えず、、、結局リードしてもらう。Iさんは手の汗がすごいけど、全然冷えないらしい。

Iさんの登りを見ると最後の乗っこしがちょっと悪そう、だけど5mほどで短い。 登ってみると、2か所しっかりしたボルトが打ってあり、終了点にはまだ新しいチェーンまで設置してある。 ガバも沢山あって比較的登り易い。がんばればリード出来た感じだった。

ここの終了点でIさん、ATCゲットしたらしい!しかもペツルの環付きも一緒(笑)。ちょうど忘れてきたもの・・・よかったよかった。
そこから、もっと岩場があると思ったら、大天狗はそれだけだった。大天狗はV+とあったけれど、その前の2段の岩場の方が全然難しかった。
でもIさんは大天狗の方が難しかったらしい??人によって違うみたい。

大天狗のその一か所を超えると、あとはぐるっと雪稜をトラバースしたら、小天狗へ向かうだけ。 もうロープは要らない感じだけど、小天狗を超えたとこまでアンザイレン。

小天狗までは、快適なアイスの雪稜でアイゼンやアックスがよく効いてここが一番楽しかった。

身体があったまってきてようやく元気が出てきた。でもIさんはもう気が抜けてヘロヘロ。去年の旭と同じ状態。 どっちもバテバテだとまずいからいいのかもだけど、やっぱり、お互い同じ負担をかけないとだめだよね。。。申し訳なさに後からロープを担ぐ。

後続パーティの3人組は、大天狗の直登を1人初心者がいるため敗退し、右から巻いてきたそうだ。その後ろのパーティも直登を敗退し降りてきたとのこと。
3人組の1人はパキスタン人だった。日本語は上手だけど、パキスタンの山々も登られたそうだ。強そうな人だった。その3人組は稜線にザックデポして赤岳へ向かった。

我々は赤岳は、権現からの縦走でまたいつかこようということでそのまま稜線を南下してツルネへ。
稜線からツルネを見ると思ったよりかなり遠い。あそこか〜とてっぺんの真っ白になったツルネを見る。
ツルネまでの稜線はアップダウンが多く風も強いので結構疲れた。
去年は旭の頂上から稜線が暗くなり、ツルネ東稜の入り口を探すのに苦労したけど、ツルネ分岐にはまだ新しい立派な標識が立っていた。

権現から赤岳の稜線は沢山歩いている人がいた。途中の樹林帯でテントも2張あった。

昨日赤岳沢入口にワカンをデポしてきたので、ツルネ東稜のラッセルが心配だったけど、トレースばっちりで、快適な下りだった。 前回のように道間違えで何度も登り返すこともなく、尻セードして早く出合小屋に着いた。途中で山専600mlが落ちていてわーいと喜んでたけど、 出合小屋で持ち主がいてよかったよかった。。。。一番下の方まで途中急な場所があるので 一応アイゼンは小屋まで着けておいた。

小屋に着く時間が5時ころだと思っていたので、出合小屋泊まりを考えて、途中で燃えそうな木の皮を集めてきたり、薪拾いをしようと思ったけれど、 早く着いたし、小屋内にはすでに2張テントが張ってあったので、そのまま下山することにする。

お互いかなりの疲労で帰りの林道はホントに長く感じた。林道に出てからヘッデン点灯。暗闇の下山というのは、いつもキツネに化かされたように 長く感じる。
下山したときには、肩と腰にあざができていた。 重かったけど、最後まで脚も痛くならなかったし、よかった〜


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今回の課題
・時計を買う!
・寒くても動ける方法は(雪壁登攀、雪山生活力)・・・
・ファイントラックの手袋買おうかな・・。Iさん今回初めてファイントラックの半袖(私は6年前から使ってる)とパンツを着用してかなり快適だったらしい。
・重い荷物持って歩ける体力
・腕の筋力
・草つき氷壁のアルパインに慣れる。丹沢とか近場でないかな・・・
・クライミングできなくても強くなるには・・
・3シーズンシュラフは厚手ダウン来てあと象足でもあればあったかいかもだけど、やっぱし冬用シュラフでいいかな。。

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小天狗と大天狗と緑天狗!?

鹿の大群が走り去った足跡
林道から権現岳がかっこいい

去年3月は渡渉6回、今回は渡渉ゼロ

出合小屋

まったり天狗尾根 ここだけゆるいナイフリッジ

天狗尾根ひたすら樹林帯登る

2500m樹林帯を抜けて岩峰見える。ここで幕営

今夜の鮭とばは超ロング30cmで肉肉しい

サムゲタンとコーンスープにきのこと春雨と高野豆腐はIさんの定番。身体あったまって美味しかった。

2段の岩場を超えたところ。2段の岩場はバッテリー消えて撮れなかった。。

2段の岩場を超えたところ。

大天狗。左上ちっちゃく3パーティ固まっています。我らは右から巻きます。

大天狗を巻いて裏。

大天狗を巻いてから小天狗方面

小天狗かっこ良い

大天狗と権現岳と旭岳方面

小天狗!鑑賞のみ。

小天狗を見上げて、旭・権現を背景に快適なアイスの雪稜

写真撮りまくる私に早く行けとIさん言うので頭が欠けた写真

小天狗を過ぎて雪稜

小天狗と旭・権現をバックに

風速は常に平均15mくらい。吹いてもかろうじて前進できる。
一番右は赤岳

一般道の稜線でツルネへ

阿弥陀岳かっこよい!左に伸びてるのは南稜?右は中岳

ツルネ〜権現への稜線。白く光っているところがツルネ

天狗尾根を見上げる。真中が大天狗、左に小天狗と赤岳

ツルネへの登り。つかれた〜

ツルネから権現・旭

ツルネ東稜への分岐

分岐から天狗尾根と赤岳

去年行った旭岳東の五段の宮、来年行きたい権現岳東稜を眺める。

ツルネ東稜へ 白い金峰山が見える 右に富士山

下山後、大泉パノラマの湯 去年よりパワーアップで30%オフの八ヶ岳名物ステーキ丼!1時間半も座敷で寝て待った。去年よりうまくなって量も増えた。

今回活躍した廃盤40%オフのモンチュラのアイゼンガードつきスノーパンツ。那須岳で拾ったモンベルのバラクラバ。(バラクラバってクリミア戦争で 英国の妻たちが極寒の地バラクラバでの闘いに向かう兵士に持たせた顔を覆う帽子からきたらしい)

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