[ member ]
It、めろ
[ ギア ]
テントエアライズ2夏外張、ダブルアックス(グリベル+クオーク)、ダブル60m1本、ストック1、わかん、冬シュラフ、象足、アイススクリュー13cm1本(未使用)、
イボイノシシ3(1本お試し使用)、スノーバー(未使用)
[ info. ]
●阿弥陀南稜は、積雪量によりラッセル敗退することが多いようだ。入山時点では上部の積雪量がわからないため、迷う場合はわかんは持っていくと良い。
岩稜帯は短くそれほど難しくないため、わかんの重さ・嵩を気にするより、積雪が多い際にラッセルが楽になるように持参した方が利口。
●雪の状態でルートの内容やレベルは異なる様子。今回は雪が締まっており、一部アイスになっていてアイスバイルが役にたったが、ピッケルでも行けるくらいの
快適な登りが出来る雪質だった。P4トラバースも雪が締まっているので、さほど問題なくロープ無しで行けたが、雪がサラサラだったりアイスになっていれば、難しい。以前行った
という友人は、P4上部は全てアイスになっており、ダブルアックスで難なく登ったが、ピッケル1本の他のパーティは登ることができずに上から確保してあげたとのこと。
●P3・4のグレードはさほど難しくない。P3の傾斜もそれほど急で無いため、ダブルアックスで休憩しながらいけると思う。トラバースの雪の状態にもよるが確実に一手一歩行けば
ソロで楽しめる。ただしソロの場合、上部の岩は問題ないとしても、下部のラッセルで敗退する可能性あり。一人のときこそワカン必須か!?
●稜線が強風の場合で山頂に出られない場合でも、支点となる木などはないため、安易にP4,P3を下降することは出来ない。天候が危うい時、進むかどうするかは、P3手前で決めるべし。
●下山ルートは、行者小屋周りで下りたが、ワカンがあるなら御小屋尾根を下った方がよかったかもしれない。下りのラッセルならそれほど
時間がかからないかもしれない。阿弥陀から中岳沢経由の行者小屋だったが、ここは昔に雪崩で11人が亡くなっているとのこと。雪の状態をよく見てルートを選びたい。
●美濃戸から舟山十字路まで歩くと1時間半か。御小屋尾根ラッセル下山の方が早く駐車場に下りれるかもしれない。
[ time ]
1/16夜発 小淵沢道の駅 車中泊
1/17(1日目)
0930 舟山十字路
1400? 立場山
1500? 無名峰手前の樹林帯で幕営
1/18(2日目)
0915 出発
1210 P3取りつき
1410 阿弥陀岳山頂〜中岳沢
1510 行者小屋 1540?
? 美濃戸
1935 舟山十字路
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しばらくソロで山に出かけていなかったので、ソロでずっと行こうと思っていた阿弥陀南稜を考える。
しかしどこか不安な気持ちもあり準備もイマイチ間に合わなそうな気もする。
去年から一緒に行きましょうと言っていたItさんを誘って見ると週末OKとのことで、他のバリエーションを考えるが、阿弥陀南稜に落ち着く。
Itさんが食糧を準備してくれるとのことで、甘えてお願いする。ありがたや〜
年末の山でちゃんと自分で計画しないとと改めて思っていたので、食糧はお任せだが、しっかり準備してルート調べて、地図を準備して、天気もちゃんと調べる。
昨年末や先週末3連休に入った人の記録を見て、雪の多さや岩稜帯のグレードを考える。
ソロで行こうとは思っていたが、妙に難しそうなことが書いてある。しかも今回は登攀隊長とかってプレッシャーを掛けられたので・・・できるだけの準備をして出ようと考える。
状態が分かりにくいので、万全に備えて十分なギアを持っていくことにする。直前にスクリューとイボイノシシ購入。半分こころのお守り。
それから天気はどうだ。いつも見ているtenki.jp山の天気を見てみる。いつもこの標高別予報を見ていて結構当たる。
土曜はとにかく冷えそうだ。標高3000mでは-20℃。そして土曜夜から日曜にかけて風が強まる。日曜9時で風速28m、15時で風速22m。
天気は晴れ。雪だったら山行中止にしただろうが、晴れなので、風を読んでいくのみ。土曜日の寒さ対策、日曜の暴風対策を考える。日曜は遅く出て風を見ていくのが良さげ。
寒さ対策といっても、1泊だけなので、まあ我慢するかと、年末みたいな防寒具はもたずに軽量化で準備。風で凍傷になりそうなので
目出帽だけは2枚と帽子とゴーグルを持っていく。
わかんとストックは直前まで考える。It氏がどちらも持っていないらしいので、今回は無しにするかと思うが、よく考えたらどちらも2セット持っていることを
思い出す。直前まで全国的に降雪があったことを考え、また立場山から上部でラッセル敗退となった記録もあったため、迷った挙句わかん・ストック持参で家を出る。
入山口の舟山十字路に到着すると思ったより積雪がなく、
わかんを車にデポして行くことを考える。しかし相方が意外に荷物が軽いので持っていこう、ということでわかんとストック1本ずつを担いで行くことにした。
前日からの積雪は5〜10センチほどであり、歩き始めると妙に足が重く呼吸が苦しいので、やっぱりデポしてくればよかったかも。。。と少し後悔する。
しかし呼吸が苦しいのは、荷物のせいとかじゃなくて、やっぱり仕事のストレスのためのものだったと後でわかる。山行明けの出勤日はひどい吐き気と耳鳴りだった。
なんか調子悪い、なんか調子悪い、、、と思いながら、呼吸を整えてリズムをつけて歩いたりするが変わらず、ふわふわしながら、ただひたすら歩いたため、あまり記憶がない。
立場山山頂になかなか着かずに通り過ぎたのではと思っていたら、ようやく到着。2人の若い男性パーティが樹林帯の山頂でテントを張ろうとしていた。阿弥陀南稜は初めてとのこと。
我々はもう少し先でテントを張ろうと、青ナギを越えて無名峰手前の樹林帯で幕営。立場山まで2人がラッセルをしてくれていたので、行く先はトレースがなく、
わかんを装着することで何とか快適に進むことができる。
わかん様サマ。後悔していたがやっぱり持ってきてよかった!!わかんが無ければズボズボ埋まり進まず敗退になっていた可能性大。
テントを張っていると、後から登ってきた4人パーティのおっちゃんがテント場を探しにやってきたが、うちらより下部に張った様子。
焼酎お湯割りで身体をあたためて就寝。それほど寒くは無かったが、あまり寝付けなかった。It氏は3シーズンシュラフだったので寒そうだった。でも軽量化のために重い冬用シュラフでなく、
ダウンパンツとダウンジャケットと3シーズンシュラフでの厳冬期も試してみたいと思った。
朝は風が強いとみて、遅く出ようと計画する。朝6時半に起き、7時頃茶を沸かしていると、4人パーティがもう出発して行った。しっかり早く出るのは、山岳会かな?と思う。
のんびりしすぎて9時過ぎに出発。風が強いが天気は良い。稜線に出る頃には風が弱まることを願って歩いてると、P1〜P2を歩いている先方パーティが見える。しかし彼らはほとんど進んで
おらず暴風の中で大変そうだ。
実はこの4人パーティには知り合いの女性がいたことを下山してから知ったのだが、その人を連れて行ってくれた男性メンバーが暴風で一回転して滑落停止したとのことだった。
山の天気予報でもこの日の午前中は滑落・凍傷などの警報を出している。
やはり風が強いようだ。周囲の山々は雪煙が舞いあがっている。
無名峰付近風の当たらない場所で装備を付ける。P1からピッケルに持ち替え岩稜・雪稜を進む。たまに強風になるが、しっかり足とピッケルを地に付けていれば飛ばされてしまうほどでなく、
徐々に風が収まりつつある気がした。
P3手前の岩場の影で休むが、ここが一番の暴風雪だった。そのため取りつくか撤退するか考える。
ここから先は取りついたら戻れない。もの凄い暴風で身体が持ち上がりしっかり足を地につけていないと飛ばされそうだ。
岩の陰からP3方面を覗こうとしても、暴風雪が顔に当たり痛くて目を開けられなし前を向けない。
行けるかな、、、心配しながらも、先方はもっとひどい暴風の時に進んでいるので行けるだろうと考える。そこで後続の2名が到着。しかし、彼らはここで撤退して戻るとのこと。
時間がかかってしまった
とのことだった。
時計を見るともう12時を回っていた。時間を考えると確かに少し迷う、しかしもう行く気でいる。It氏とお互い行く気であることを確かめ進む。
山頂に3時には抜けられれば行者に下りれるだろう。
後続2人はワカンをもっていない様子だった。昨日つぼ足でのラッセル立場山まで。さらに今日の立場山からのラッセル。
そりゃ疲れて時間かかってしまって撤退する気持ちが分かる気がした。やはりワカンの力は大きい。
どきどきしながらP3へ。P3の取りつきからルンゼを見上げると、あれ?全然ロープ無しでいけそう。。。少し拍子抜けと共に安堵とウキウキ。
思ったより全く傾斜なく雪の状態もよさげ。一応ロープつけてダブルアックスで快適に登る。途中1箇所支点が取れる。
最後の支点は60mロープでないと届かないので、50mロープならここの途中の支点でピッチを切った方がよい。途中で購入したイボイノシシをお試しで差してみるが、差しやすい雪のため抜けやすいのは当たり前。
2ピッチ目はそのままIt氏。さらにアンザイレンで稜線を進み、すぐにロープを解きP4へ。P4へ向かうと、ようやく先行の4人パーティが山頂に乗りあげた様子だった。P4はロープ使わなかったが、P4のトラバースはP3より悪い。
P4上部を快適に登り、山頂へ。
山頂に着くともう風はほぼない。360度の大展望。昼までの暴風はウソのようだ。なんだったんだ、さっきまでの暴風雪は!!
悪天が素晴らしい好天へ!
風をよみ、雪をよみ、時間をよみ、寒さをよみ、自身のメンタル、体力との調整。今回もいろいろ勉強になった。
それにしても、嘔気は岩や雪やアイスや暴風で吹き飛んでしまう。アドレナリンが出るからだろうか、狂った自律神経が正常に戻り異常に元気になる。完全に病気だ・・いや山療法だ。
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しばらく素晴らしい景色を堪能して、行者小屋へ。
阿弥陀北稜へのトレースがばっちり付いていた。登山医学会の八ヶ岳クラスタが行われていたとか。来年は受けようかな。
美濃戸まで行き、てっきりタクシーで舟山十字路へ帰るかなと、考えていると、It氏は歩く気満々で舟山十字路までの地図を調べてきたらしい。
ということで一旦抜けた気を引き締め、再度気合入れて歩く。
辺りは暗くなり夜空は満点の星。ヘッドライトを消して、星を見上げながら、てくてく舟山十字路を目指す。たまに動物の鳴き声が聞こえて、
ずっとこの空間に居れたらな、、と思う贅沢なナイトウォーキング。
さすがになかなかたどり着かないため最後は疲れてしまった。この林道歩きは今回の山行で一番しんどかった...とはここを歩いた人はみんな言う。
今度はソロで来てみようと思う。