山の記録一覧へ

2007年9月28-29日 北アルプス 北穂高岳〜涸沢岳〜奥穂高岳

[スタイル]単独 小屋素泊まり

[ルート]
<1日目>
7:00 上高地(1505M)
8:30 徳沢-横尾-涸沢小屋
15:30 北穂高岳
<2日目>
6:30 北穂高小屋-涸沢岳
9:15 穂高岳山荘9:45-紀美子平-重太郎新道
14:00 上高地

[1日目]

寝不足で吐き気、めまいがする。胃の調子が悪いが、眠気を取り除こうと、徳沢で缶コーヒーを飲む。そして予想通りお腹を壊す・・・。
体調不良のまま、途中お腹を壊しながら、なんとか北穂高小屋に着く。小屋に着いてから体調が悪化。腹痛、吐き気、下痢・・・・。布団を敷いて寝るがどうしようもない。とにかく何かを食べてみようとするが、喉に通らない。
宿から白湯をもらう。宿の人に体調が悪いと何度も言おうと思ったが、もうちょっと自分で頑張ってみようとひたすら白湯をもらって飲む。白湯すらあまり受け付けなかったのだけど。
1リットルくらい白湯を飲んで横になるが気持ちが悪いのは変わらない。パンが喉に通らず、持ってきた魚の缶詰が飲み込めたので、湯と一緒に流し込み、トイレの往復とともに横になる。ヘリで下山か・・・?そんなことも頭によぎる。

窓からちらりと見える外の景色が素晴らしすぎて写真を撮りたいけれど、上半身を起こすことすらできない。

魚の缶詰のおかげか、しばらく寝ると体調が戻ってくる。これで助けを求めなくてもよさそうだ・・・。

夜になると夕方の素晴らしい天気と変わりどしゃふりに。
朝になると、どしゃぶりは変わらず。隣に寝ていた人たちが、ルート変更の話をしている。

おばさん2人は、涸沢への道は雨だと怖いので、来た道を引き返すという。おじさん一人は、西穂高行きをやめ涸沢から下山することにしたらしい。

私は、涸沢を行こうか迷っている、と言うと、おばさんは 「まず、自分はどのくらいの経験と実力があるか言ってから聞きなさい。この方(おじさん)はね、ガンガン登って凄い経験があるいんだから。あなたカエラズは行ったことあるの?」と言ってくる。
妙に感じ悪、なんだこのおばさん・・・。
「カエラズはいったことないです。鹿島槍は行ったことあります。」
「鹿島槍は大したことない。」とおばさん。

彼らに聞くのは無駄だと思い、小屋の人に聞く。初めての人は、涸沢はやめた方がいいとのこと。

まだ迷いがあり、同じ道は引き返したくない。レインウェアを着て、雨の北穂を目の前に小屋の入口に立つ。さてどうしよう。雨宿りをするように立ちそこにいたおじさんおばさんに尋ねる。「涸沢岳より、吊り尾根の一枚岩が滑って怖いという。涸沢を越えて奥穂の小屋でその先を行くかザイデングラードで下るか決めればいい。」

人それぞれなのか。結局涸沢岳を目指す。
雨の涸沢岳は相当怖かった。両手両足を使い、3点は必ず岩から離れないようにした。この手を離したら、この足が滑ったら、たとえそうなっても絶対に落ちないかたちをとった。落ちたら確実に死ぬ・・・。

雨だけならまだいいが、夏山が終りの時期もあり、気温が低い。手が冷たくて、もっと気温が低かったら致命的だった。鎖をつかむと手が冷えるので、鎖につかまらないと落ちそうなところ以外は岩をつかんで登った。
気を緩ませたら最期。集中力が切れたら落ちてしまう。下を見て恐怖を感じながら岩にへばりついた。

無事に涸沢岳を通過。穂高岳山荘に到着するとホットレモンを飲んで身体を温める。朝、小屋でおばちゃんの言ったように、ここでルート選択をしようと小屋の人に聞いてみる。
「ここからは涸沢岳より怖いところはない。」とのことだった。何・・・!?
ということで、奥穂〜吊り尾根経由で上高地に帰ることにした。

途中、吊り尾根で単独のおじさんを追い越す。雨のため滑りやすく、一瞬山以外の考え事をしたら滑って転んでしまった。危うく、下まで転がってしまうところだった。
気を引き締めて歩く。尾根の下の方に衣類のようなものが見えた。遭難者の遺体・・・?と思いながら通り過ごす。

前穂の分岐でスタミナ切れで雨の中休んでパンを食べる。するとさっき追い越したおじさんに追いつかれた。私を見て、女だったことに驚いていた。歩き方から男だと思ったらしい。私があまりに早いので途中で落ちてしまったんじゃないかと周りと見渡したこと、途中遺体のようなものがあったことなど話した。

初めてなら前穂を往復した方がいいと言われたが、天気が悪く、下山も遅くなるのも心配なのでそのまま下ることにした。

おじさんは、北穂高の小屋で泊まっていた、西穂行き予定していた人だった。一緒に山の話で盛り上がりながら下山する。
女一人で登っている人はものすごく珍しいらしく興味津津のようだった。

今朝のおばさんを話題にしたら、あのおばさんたちが涸沢岳を来ていたら遭難しただろうと言っていた。
早めのペースで下ったが、それでは時間のバスに間に合わないだろうと言われ、かなりペースを上げてガレ場の岩の上を下る。おかげで膝を痛めてしまった(泣)。しかもかなり早く下山してしまった。

それにしても重太郎新道は長かった。雨が激しさを増し、道が川となって流れていた。

下山するとおじさんにうどんを御馳走になった。そして、八王子まで送ってくれた。ロイホでまた夕飯を御馳走になった。おじさんは伊豆で宿を経営しているらしい。お金もあるし羨ましい生活だ。

inserted by FC2 system